ベネッセ個人情報流出事件

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2014年6月ごろより、ベネッセの顧客に、ベネッセのみに登録した個人情報を使って他社からダイレクトメールが届くようになり、ベネッセから個人情報が漏洩しているのではないかという問い合わせが急増した。

7月19日、警視庁は、ベネッセのグループ企業、シンフォームに勤務していた派遣社員のエンジニアを逮捕。取り調べで情報を持ち出し、名簿業者に売却したことを認めた。

この事件により、責任部署にいた二人の取締役が引責辞任した。また本事件の影響で大規模な顧客離れが起き、同社は経営赤字に転落するなど、経営に対する重大な打撃となっている。

  • 2013年12月 - 情報の不正持ち出しが始まる
  • 2014年1月ごろ - 名簿業者「パン・ワールド」が別の名簿業者から顧客情報を購入
    • 5月中旬 パン・ワールドが名簿業者「文献社」に顧客情報を転売
    • 同21日 - 文献社が通信教育を手掛ける「ジャストシステム」に顧客情報を転売
    • 6月27日 - ベネッセが社内調査を開始
    • 7月9日 - ベネッセの原田泳幸会長兼社長が記者会見し、「最大約2070万件の情報が漏洩した可能性」と発表。警視庁が捜査を開始。
    • 7月12日 - ジャストシステムの入手ルートとは別に、複数の名簿業者の間で顧客情報が取引されていたことが判明。
    • 7月16日 - 情報流出したデータは、少なくとも3つのルートで、名簿業者など約10社に拡散していたことが分かった。
    • 7月17日 - シンフォーム勤務の派遣社員である、当時39歳のシステムエンジニアの男を逮捕。ベネッセは顧客情報に関するデータベースの運用や保守管理を「シンフォーム」に委託。同社は業務をさらに複数の外部業者に分散して再委託していた。犯人は外部の業者から派遣されて同社のデータベースシステム管理を担当し、顧客情報にアクセスする権限があった。のちの調べに対し、顧客情報を持ち出したことを認め、「金がなくて生活に困っていたので、名簿業者に複数回売却した。総額は数百万円になった」と供述した。

同日、ベネッセは、顧客情報が流出した経緯や再発防止策をまとめた報告書を、経済産業大臣に提出した。また、利用者への補償として200億円の原資を準備していること、受講費の減額などを検討していることを発表。

7月18日、英会話学校大手のECCが、流出した可能性がある約2万7000件の高校生のデータを、大阪府の名簿業者「フリービジネス」から購入し、ダイレクトメールを発送していたことが分かった。ECCはフリービジネスから高校1・2年の名簿計約7万5000件を計約60万円で購入。このうち約2万7000件がベネッセのデータとみられ、2月から5月にかけて約1万9200件のDMを送ったという。フリービジネスが販売したデータは2013年11月に千葉県内の名簿業者から購入した800万人分の名簿の一部で、ECCのほかに全国の塾や予備校、着物の販売店など数十社に要望に応じて販売していた。同日、容疑者から顧客情報を買い取っていた東京都千代田区の名簿業者のセフティーの事務所を家宅捜索。

7月22日、ベネッセは、情報流出の状況について記者会見で、通信教育サービス以外の顧客同士の交流サイト、出産や育児関連の通信販売サービスでも、個人情報が流出したと発表した。この事件の影響により、2014年夏休みに開催予定だった鉄道博物館の一部イベントなど、ベネッセ主催の子供向けイベントを2014年秋まで中止することを決定した。

9月10日、ベネッセは記者会見を開き、顧客情報漏洩件数を3,504万件と公表。個人情報漏洩被害者へ補償として金券500円を用意するとした。35社が漏洩した個人情報を利用しており、事業者に対して個人情報の削除を求めるなど、利用停止を働きかけていると説明した。

10月28日、不正に入手された名簿と知りながら業者に転売した疑いがあるとして、警視庁生活経済課は名簿業者「セフティー」の事務所など関係先6カ所を不正競争防止法違反容疑で家宅捜索した。

2015年7月31日 ベネッセは事件の影響で、1年間で94万人の会員が流出したと発表。ピーク時には420万人だった会員数は、事件の影響で15年4月には271万人と35%減少した。2015年4~6月期の連結決算は、売上高が前年同期比7%減、営業利益が同88%減となり、営業損益は前年同期の39億1000万円の黒字から一転、4億3000万円の赤字になる。

2016年05月06日 4月時点の進研ゼミ会員は243万人と、前年同期から28万人減った。16年3月期の連結最終損益を従来予想の38億円の黒字から82億円の赤字(前の期は107億円の赤字)に下方修正。10-3月期(下期)の連結最終損益も従来予想の13.7億円の赤字から133億円の赤字に下方修正し、赤字幅が拡大。

  • 7月10日、今回の事態を重く見た経済産業省はベネッセコーポレーションに対して「個人情報保護法に基づき、本件に係る事実関係などについての詳細を7月17日までに書面にて提出するよう」報告徴収指示を出したことを発表した。
  • 7月11日、下村博文文部科学大臣は定例記者会見の席上で「経産省において、個人情報保護法に基づく報告徴収等を踏まえた対応が行われるとともに、警察による捜査も開始されているものと承知」しているとし、教育委員会等に個人情報の取扱いに関する一定の指針を示すことはないが、検証していきたいと答えるに留めた。
  • 7月17日、経済産業省は情報を名簿業者から購入していたジャストシステムから、事情聴取する方針を決めた。
  • 7月18日、経済産業省はジャストシステムに対し、個人情報の管理体制を強化するよう要請し、新たに講じる対策の内容の報告を求めた。
  • 7月25日、経済産業省はベネッセから流出した可能性のある個人情報を購入したECCに、情報の入手先が適正かなどについて確認を徹底するよう求めた。

2016年3月29日、東京地方裁判所の判決で、ベネッセ側が機密保持対策を行っていたことを理由に、弁護側の主張を退け、懲役3年6ヵ月、罰金300万円の執行猶予無しの実刑判決を言い渡した。弁護側は即日東京高等裁判所控訴した。

2017年3月21日、東京高裁の判決で、ベネッセ側の不備が認定され、被告を懲役3年6カ月、罰金300万円とした一審判決を破棄。懲役2年6カ月、罰金300万円に減刑した。

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  10. “ベネッセ、情報漏洩3504万件に 補償は500円の金券 情報セキュリティー企業と共同出資会社”. 日本経済新聞. (2014年9月10日) 記事のアーカイブ
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  13. 経済産業省プレスリリース 2014年7月10日
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