行政

不祥事続く福岡市役所 元市職員からの提言~寺島浩幸市議
行政
2012年6月 4日 10:30
みんなの党福岡市議団副代表・幹事長          
みんなの党衆議院福岡県第3区支部長  寺島 浩幸

 1カ月の禁酒令で全国的に話題になってしまいましたが、福岡市役所の連続不祥事について、元市職員として大変悲しい思いで受け止めています。
 一言でいえば、組織が弛んでおり、市民の命や健康、あるいは財産をあずかる公務員としての「使命感の欠如」が原因であるとしか言いようがありません。

 私は以前、「高島市長への愛の告知」シリーズの第56回・57回において、行政の無謬性(間違いがない)、継続性(1度始めたら止められない)、秘匿性(悪い情報は上にあげない)という、ピラミッド構造の行政(官僚)組織が抱える大きな課題を指摘して、市役所は「市民のために変わらずに成果を出し続けるために、常に変わっていかなければならない」と申し上げました。

 ともすれば、内向きの文化を持つ公務員組織の頂点に立ち、自らの公約やビジョンを実現させ、行政改革をしていくためには、高島市長の強い精神力が要求されますが、精神論だけでなく、技術面からは、市役所という大きな組織をマネジメントしていく手法も大変重要になります。

 そのような視点から次の3つの事項の改革を提案させていただきます。

 まず、1つ目は、読者からの投稿にもありましたが、「人事評価制度」の見直しです。

 市役所の人事評価制度は、上級、中級、初級などの採用試験ごとの年功序列を基本として、減点主義により篩(ふるい)にかけていくというやり方です。このような減点主義では、市職員がリスクをとって新しいことに果敢に挑戦して成功したとしても、人事評価には大きな影響はなく、逆に失敗すれば減点されて篩にかけられてしまいます。ですから、市職員の気持ちは自然とリスクを負う業務改革などの「新しいこと」「前例にないこと」へ挑戦する意欲を失っていく傾向にあります。
人 事評価制度に、成果主義を大幅に取り入れ、この減点主義を抜本的に見直すことが必要です。

 2つ目は、業務改善や職場風土の改善に向けた職員のやる気を引き出すシステムの導入です。

 今回の一連の不祥事は、職員の気持ちや職場の雰囲気などに、ゆるみ、たるみ、重たさ、無力感などが蔓延し、職員が自らの仕事について「誇り」や「使命感」や「やりがい」などポジティブな心を持てないでいることが背景にあるのではないかと推察します。

 職員の「使命感」や「やりがい」を引き出すには、信賞必罰というように、トップの方針に従わない職員は思い切って更迭するなど厳しい対応が必要であると同時に、他方で、業務遂行や業務改善の場面においても頑張った職員をきちんと評価するシステムが不可欠であると思います。この点は前述の人事評価制度と共通します。

 福岡市役所では、2000年4月から『DNA運動』が展開されました。この運動は、現場レベルのTQC(トータル・クオリティ・コントロール)運動で、すべての市職員が自らの仕事の価値や意味を認識し、課題を見つけ自ら解決に取り組む運動として誕生しました。その基本精神は「D(できる)から始めよう。N(納得できる)仕事をしよう。A(遊び心)を忘れずに」というものでした。業務改善に向けた職員一人ひとりの想いに光をあてることにより、行政組織の閉鎖性を打ち破り、組織のDNAを変革していこうとするものです。

 この福岡市のDNA運動は、全国の自治体に広がりました。大阪市役所の「カイゼン甲子園」のほかにも、「ハマリバ収穫祭」(横浜市役所)、「なごやカップ」(名古屋市役所)、「元気の種コレクション」(札幌市役所)など多くの政令指定都市が真似していますし、政令市以外でも、「はながさ☆ぐらんぷり」(山形市役所)、「ChaChaCha グランプリ」(富士市役所)、「きたかみPing!Pong!Pang!運動」(北上市役所)、「YAA るぞカップ」(尼崎市役所)など、日本中の多くの自治体に影響を与えました。

 今の福岡市役所には、もう1度、このようなポジティブ志向の改革運動を導入していくことが必要であると思います。

 3つ目は、常に改革する組織、学び続ける組織に向けたトップの強い「決意と覚悟」が必要です。

 前述したように、行政の無謬性・継続性・秘匿性という行政(官僚)組織が抱える課題に対応するために、また、日々刻々と変化する社会経済状況に対応するために、市役所は常に改革し続けなくてはなりません。そして、どのような「改革」でも、痛みを伴うものであり、抵抗する勢力は必ず存在します。

 そのような抵抗勢力を押さえ込むためには、十分な話し合いにより納得と譲歩を引き出すことも大切ですが、トップがしっかりとコミットメントし、その指示を受けた改革推進部門も、トップともに一歩も引かない「決意と覚悟」を示すことが不可欠ではないかと思います。

 市職員のなかには、情報公開や行政改革に後ろ向きな者だけではなく、真剣に進めていこうと取り組んでいる心ある職員もいます。トップがまず、その「決意と覚悟」を示すことができれば、改革マインドを持つ心ある市職員を糾合し、改革への気運を高めていくことが可能となります。そして、そのうねりが高まれば、組織風土そのものの改革も進んでいくと思います。

 高島市長のご英断を期待して筆を置かせていただきます。

<プロフィール>
寺島 浩幸 (てらしま ひろゆき)
福岡県立修猷館高校、福岡大学法学部法律学科を卒業。1987年に福岡市役所入庁後、総務局法制課、人事委員会任用課、情報公開室係長、市長室経営補佐係長、議会事務局法制係長などを歴任し、2010年8月に退職し、行政書士事務所を開業。市在職中、「日本初の協定方式による第3セクターの情報公開制度の条例化」「日本初のPFI事業(タラソ福岡)の破綻再生」「日本初の『移動権(交通権)』の理念に立脚した議員提案条例の制定支援」に携わる。2011年4月の福岡市議会議員選挙(西区)で、みんなの党公認候補として初当選。市議5名で新たに発足した同党福岡市議団の副代表兼幹事長に就任。12年2月、同党衆議院福岡県第3区支部長に就任。次期衆院選の同党立候補予定者として注目を集めている。

行政一覧