不祥事の発生から懲戒処分までの手順

不祥事発生から懲戒処分までどのような手順で行えばよいのか?

                        -懲戒処分までの流れー

一連の流れとしては以下のようになります。

           1.不祥事の発生

             

           2.事実関係の調査(当事者、関係者へのヒアリング)

             

           3.懲戒事由(罪の部分)についての確認(就業規則にて)

             

           4.懲戒処分(量刑)についての検討

                       *過去の企業内での懲戒処分の履歴等も吟味対象とする

             

           5.就業規則記載の適正な手続きを経る

                       *懲罰委員会の諮問、処分対象者の弁明の機会の付与等

             

           6.処分内容の決定

             

           7.本人への通知、懲戒処分の実施

 

 この流れの過程で、特に慎重に進めなければならない、“2.事実関係の調査”についてもっとブレイクダウンし、詳細を見ていきたいと思います。

 

事実関係の調査

  従業員の不祥事があったという、事実認定を行うためには、関係者に対するヒアリング等の事実関係の調査は不可欠です。事実認定を行わないで、特定の従業員を犯人と決め付けるのは非常に危険といえるでしょう。調査方法は懲戒対象者や被害者の性格や事案の性質、重さ等でケースバイケースで対応する必要はありますが、主だったフローは以下のようになります。

  a)被害者、内部通報者からの申し立てのヒアリング

    この際の留意点として

      ・ヒアリングする際には先入観を排除し、客観的に聴く。

      ・申し立てを裏付ける資料の有無の確認

      ・申し立て者以外にも事情を知る者がいるかどうかの確認

      ・申し立てられた内容を確定した事実なのか、推測なのか、意見なのかを判断、区別する。

      ・不祥事を行った者を特定した経緯、理由を確認する。

      ・処分に関しての意見や希望を確認する

      ・相手(加害者)に対して名前を開示していいかどうかの確認

         *特にセクハラ被害等、被害者がいる場合には、被害者の心情等を考慮して、慎重な対応が求められます。

    

   b)証拠品の収集

      留意点)

      ・証拠品となるべき文書を収集する

      ・文書以外にも証拠となるモノが存在するかどうか確認する。

      ・文書については作成者、作成時期や目的等を抽出する。

      ・文書の筆跡や文体を確認し、不自然さの有無や、本人の作成文書かどうかを吟味する。

      ・記述内容の矛盾の有無を確認する。

      ・文書を時系列的に確認し、時間の流れと内容が矛盾しないかをチェックする。

      ・文書と証拠品が辻褄が合っているかを確認する。

     

    c)当事者ではないが事情を知る可能性がある従業員からの聴取

      留意点)

      ・その従業員が目撃したこと、または聞いたことの時期や状況をヒアリング

      ・上記でヒアリングしたことが、事実に基づくものか、推測の域を出ないものなのかを判断

      ・何らかの記録や資料があるのかの確認

      ・その従業員の印象にどのくらいのインパクトがある出来事であったを確認

      ・その従業員の他にも事情を知る者がいるかどうかの確認

    

   d)加害者(不祥事の行為者)からの聴取

     留意点)

      ・聴取を強要されないことをあらかじめ伝える。

      ・ただし聴取拒否自体も重要な判断材料になることもあらかじめ伝える。

      ・申立人(被害者、告発者)の希望も考慮し、彼らの情報を伝えるかどうかをあらかじめ決めておく。

      ・聴取の際に、行為者に提示する文書、資料をあらかじめ決めておく。

      ・聴取を行う際は、先入観を持たない。

      ・聴取した内容が、事実か推測か意見かを判断し区別する。

 

  上記a)からd)のようなフローで行うのがごく一般的でしょう。各々の聴取の際の留意事項は項目ごとにまとめていますが、話が込み入ったようなケース等は専門家に介入させることも検討すべきでしょう。

   

  また、上記のようなフローで各々から聴取できたとしても、供述内容の信用度というのは、正直どの程度かなんとも言えないでしょう。保身のためにうその内容を供述することもありうるわけですから。

 そういった事情を勘案すると、やはりこの事実認定⇒量刑の検討の部分が懲戒処分のフローの中では難易度の高い部分になってくると言えるでしょう。裁判同様、不祥事(罪)の事実認定ができるかどうか、またできたとして、その罰(処分)の重さをどのように考えるかという部分が、企業としては非常に難しいと思われます。

 複雑な事案に関しては専門家の介入も選択肢の一つとして検討すべきでしょう。

 特に最近は、“通勤途上でチカンで逮捕された従業員”“インターネットへの会社に対する誹謗中傷の書き込みを行う従業員”等、複雑かつ特殊なケースで企業が懲戒処分を検討しなければならない場面が増えています。

 

 当事務所では企業様からの従業員の懲戒処分に関して、事実認定から量刑の検討、手続きに関してアドバイスをさせていただいております。様々な事案を扱った経験豊富な当事務所にお任せください。

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