不祥事を防ぐ内部通報というCSR

先日、東洋経済より「“内部通報が多い”企業ランキング」という衝撃的なランキングが発表されていたのでシェアします。

もちろん、昨今の企業不祥事においてコーポレートガバナンスの課題が話題になっています。内部通報は自浄作用や監視として、本来非常に重要な役割を果たします。本来は。

それが大型不祥事が起こる企業では機能していない。しかし、内部通報が機能していれば、不祥事が起きないわけでもない。さてさてどうしたものか…。

内部通報が多い企業・トップ10

1位、セブン&アイ・ホールディングス
2位、ヤマトホールディングス
3位、日清医療食品
4位、明治安田生命保険
5位、NTT
6位、ダイハツ工業
7位、損保ジャパン日本興亜ホールディングス
8位、大和ハウス
9位、JT
10位、LIXILグループ
10位、ユニーグループ・ホールディングス
初公開!「内部通報が多い」100社ランキング

東洋経済のレポートです。ランキング詳細は引用記事をご覧いただければと思いますが、ぱっと見、各種CSRランキングでもよく見る顔ぶれも多いですね。「CSRランクが高い企業は、内部通報が活用されている」との因果関係はまではわからないものの、軽く相関関係くらいはありそうな雰囲気です。

「内部通報制度」は従業員が企業の不正や問題点を通報できる制度だ。社内の透明性を高めるために有効とされる。以前は「まったくありません」という企業も少なくなかったが、最近は「規模に比例して一定数ある方が健全」という考えが主流になり、件数などを外部へ開示するケースも増えつつある。
初公開!「内部通報が多い」100社ランキング

記事によれば、内部通報制度があるといっても、企業の本質的な課題ではなく、個人の不平不満も少なくないという。しかし全体最適と内部統制という視点で監査をするならば、このホットラインが“活用されている”状態が重要であることは間違いありません。

内部通報の流れと対応

金融庁審査の発端となった内部通報(内部告発)→社内で第三者委員会設置を覚悟することになった特別調査委員会への内部通報→組織関与を第三者委員会が認定することになった第三者委員会への内部通報と、企業不祥事が明るみになる経過は、他社も十分に認識しておく必要があると思います。
企業不祥事はいつ社内で「沸点」に達するのか?

東芝の不祥事について「コンプライアンス経営」という視点でみた記事です。

社内で、不穏な情報が内部通報によって流された。それを握りつぶし無視するのか、それとも、もしかしたら大不祥事につながりかねない、と早急な対応と情報開示をし、被害を最小限に留めるのか。

内部通報の情報は、経営陣もCSR担当者も耳のイタイ情報が多いと思いますが、真摯に対応しなければ、大不祥事となり数百億円レベルの損失(長期でみればブランド毀損も含めその何倍も)を出すことになってしまうかもしれません。ミスや不備を簡単に認めたくないのはわかりますが、1発アウトの大型不祥事は絶対さけるべきです。

同じ筆者の記事ですが、こちらも非常に参考になりますので、CSR担当者は“私の担当範囲ではない”と言わず、きちんと理解しておきましょう。

コーポレートガバナンス・コード

コーポレートガバナンス・コードの「原則2-5」でも、内部通報が言及されてますよね。

【原則2−5. 内部通報】
上場会社は、その従業員等が、不利益を被る危険を懸念することなく、違法または不適切な行為・情報開示に関する情報や真摯な疑念を伝えることができるよう、また、伝えられた情報や疑念が客観的に検証され適切に活用されるよう、内部通報に係る適切な体制整備を行うべきである。取締役会は、こうした体制整備を実現する責務を負うとともに、その運用状況を監督すべきである。

【補充原則】
上場会社は、内部通報に係る体制整備の一環として、経営陣から独立した窓口の設置(例えば、社外取締役と監査役による合議体を窓口とする等)を行うべきであり、また、情報提供者の秘匿と不利益取扱の禁止に関する規律を整備すべきである。

というわけで、上場会社のCSR担当者の方は、しかるべき部門としっかり連携し、対応していきましょう。できない、という言い訳はもう通用しませんからね。内部通報がなぜかバレて善意ある従業員が報復を受けるとか、全時代的ですからやめましょうね。

まとめ

究極的な結論として、東芝さんの件も含めて、CSR領域を含めた企業サイドからの情報開示は信用できない、と。

では、コンプライアンスやコーポレート・ガバナンスの報告は意味がないのか、というともちろんそんなことはない。実際に“仕組み”があるのは事実だろうし、それを活用しようと努力している企業のほうが多いでしょう。問題は、それが外部から判断しにくいこと。エンゲージメントをきっちりやって、ステークホルダーの信頼を地道に得ていくほかないでしょう。

CSRの実践により、明確なエビデンス、理解しやすいストーリー、透明性あるプロセス、実行を担保するガバナンス、を企業は実行できるのか。CSR支援をしている人間の1人として、非常に大きな課題だというのは間違いありません。



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