FXコラム

フォルクスワーゲン(VW社)不正問題が相場に与える影響

9月18日に突如として降って沸いたように登場したドイツ「フォルクスワーゲン社」の米国におけるディーゼル車の排ガス不正操作問題は、欧州でも行われていたことがドイツの運輸相から24日に発表され、波紋が広がっています。
一企業がしでかした米国での問題であるだけに為替への影響がどれほどになるのかは、当初計りかねていた部分もありましたが、ここへ来て事態は「ギリシャ問題よりも深刻」との見方が広がり、迂闊にユーロに手を出しづらい状況が始まっています。 

クリーンディーゼルはドイツエコカーの生命線

地続きで大陸を横断するようなクルマの使い方をする欧州では、乗用車でも年間3万キロ程度走行するのは当たり前です。
エコカーについても、エンジン排気量を小さくしてターボで加給しながら出力を確保する・・・所謂「ダウンサイジング」とともに抜群の燃費と高出力を両立させた「クリーンディーゼルエンジン」搭載車が欧州では主流となっているのです。
ハイブリッドや電気自動車の開発は日本やアメリカに比べると遅れをとっている状況ですが、その分「クリーンディーゼル」に賭けているのがドイツ自動車メーカーの戦略となっています。
その為、EUも軽油からも硫黄成分をいち早く除去するなどクリーンディーゼルの普及を後押ししてきている状況にあります。
欧州系の自動車メーカーはここ20年近くクリーンディーゼルの開発と普及に尽力してきているだけに、最大手VW社(フォルクスワーゲン)の不祥事に端を発して、他の自動車メーカーへ波及することが懸念されるところとなっています。
欧州メーカー各社は最近では1.5リッタークラスの小型車にもクリーンディーゼルが普及しており、ラインナップにこうしたモデルを導入していないメーカーは無い程の人気ぶりとなっています。
ですから、今回の件で先陣を切っているドイツ自動車メーカー各社に大きな痛手をなることが間違いなく、CEOの辞任といった一企業の問題だけでは済まない情勢となってきています。


VWに追い討ちをかける中国での販売減少

このVW社の米国、ドイツでの事件と前後するように中国でのドイツ車の販売は軒並み落ち込みを見せるようになっており、8月から既にVWでも中国では初めて現地工場のフル稼働をやめて生産調整に乗り出すようになっています。
「サンフォード・バーンスタイン」の調査によりますと、今年上半期の主要メーカー23社の中国合弁工場の稼働率は平均94.3%と、前年同期の107.4%から低下し、初めて100%を下回っております。
これは、ドイツメーカーに限った話ではありませんが、中でもドイツ車メーカーはVWをはじめBMWやベンツが中国で現地生産をしてきているだけにその影響は大きく、今回のディーゼル車排ガスデータ捏造事件をきっかけとして、販売が後退することが懸念され始めているのです。 
フォルクスワーゲンは、2014年には世界販売台数が「1000万台」を超えた欧州最大の自動車メーカーであり、2015年の上半期ではトヨタを抜いて世界一位に躍り出ました。しかし、今後中国だけではなく世界中で販売台数を落とす事は必須になりそうです。

ドイツではVW問題は刑事事件へと発展

VW社のディーゼル車データ不正操作事件は刑事事件として立件される動きを見せています。
欧州圏の金融市場では自動車メーカー各社の株価が大幅下落を始めており、一部のアナリストからは「ギリシャ債務危機」を凌ぐ下振れリスクをドイツ経済に与える可能性も指摘されはじめています。
当然のことながら「EU経済の屋台骨を支えてきたのがドイツ」だけに、こうした動きはEU全体に深刻な影響を与えることが必至と見られ始めています。
米環境保護局(EPA)はVWに最大180億ドルの罰金を科すとしています。これは、同社の昨年の営業利益を上回るものです。VWの手持ちのキャッシュは210億ユーロ(240億ドル)に上り、罰金への支払い能力は確保されています。
しかし、この事件に伴う大量人員削減の不安は清算拠点をもつ世界中の主要国に影響を与えかねないもので、いきなり登場したこのテールリスクに相場が今後どう反応するのかが注目されます。
これまでは金融市場がリスクオフに向かうと、ユーロキャリートレードの巻き戻しでユーロが買い戻されてきましたが、果たしてこの先同じ動きが示現するのかも注目されるところとなっています。
ドイツではいち早くシリアからの難民を無条件で受け入れることを表明したはずのメルケル首相が、ものの10日でその受け入れを制限する旨発言したことで、大きく支持率を落としております。
この問題も含めて対応を誤れば失脚する可能性もでてきているだけに、ドイツにとっては正念場を迎えています。しかも「EU」がその運命共同体的状況に陥っている点が危惧されます。
少なくともユーロは、これまでとは異なる動きを見せる可能性に注意が必要です。 

関連記事 こちらの「FXコラム」もご覧ください

現在3人のライターがコラムを執筆中

  • 「ファンダメンタルズ分析」をメインとして、今後の相場展開を占う!

    最新記事 2017/07/09
  • FXの「始まり」を知る、業界を知り尽くした男によるコラム。

    最新記事 2017/07/10
  • 【DIY】デイトレーダー用スタンディングデスクを製作しました。

    最新記事 2017/07/10

コメント

名前 (必須)
E-mail 公開されません (必須)
画像
(横幅590pxまで)
タイトル (必須)
コメント (必須)