2009年02月28日

「企業の不祥事と株価パフォーマンス」(2006)
小佐野広,堀 敬一
Research Paper,No.05006
立命館大学ファイナンス研究センター

【イベント・スタディ援用したい】

1.はじめに
研究の目的
①不祥事情報の漏洩による不祥事発覚日以前の株価変動の存在を発見すること
②不祥事の発覚により下落した株価がある一定の期間中に回復する可能性があるかを検討すること(1)

不祥事と株価に関する先行する実証研究
Karpoff and Lott(1993)
1981-1987
 Wall Street Journal Indexの“Fraud”,“Crime”にリストアップされた132社
企業不祥事による超過収益率
 法律的な罰金や制裁よりも企業の信用失墜による株価低落の効果が大きい
 加えて次の3つの仮説の効果で生じた
 ①不祥事が企業にとって好ましくない情報の開示を意味しているので株価が低落する
 ②将来において企業に対して課せられる法律的な処罰のコストを織り込むから株価が低落する
 ③将来における不法行為からの収益が減少することを株価が織り込んで低落する
 →推計される超過収益率のかなりの部分は企業の信用失墜効果によって説明されるという結果(2)

Viucusi and Hersch(1990),Hertzel and Smith(1993),Garber and Adams(1998),Prince and Rubin(2002)
 製造物責任にかかわる訴訟が企業価値に対してどのような効果をもたらすか
Garber and Adams(1998)
 自動車産業の製造物責任訴訟判決をイベント
 イベントは株価に対する有意な効果はみられない
Prince and Rubin(2002)
 米国の自動車産業と医薬品産業において,製造物責任訴訟が最初のニュースとして出てきた時点をイベント
 イベントは株価に対して有意に負の効果を持ち,その効果は企業の信用失墜効果によるという結果(2)

【相反する結果が出ている。この事例は私の研究にて援用できる】

Jarrell and Peltzman(1985),Barber and Darrough(1996)
負の効果(注1 2-3)
Hoffer,Pruitt,and Reilly(1988)
 有意な効果は見られない(注1 2-3)

本稿では,企業不祥事の種類が企業不祥事の超過収益率に与える影響を純粋に考察することに力点をおく(3)

2推定方法
Campbell et al.(1997),に従って企業の不祥事が株価に与える影響を分析
イベント・スタディを行う場合の手続き
 ①イベントの確定
 ②対象となる企業の選択
 ③予想収益率を算出するモデルの選択
 ④超過収益率の計算
 ⑤超過収益率の集計化
 ⑥検定統計量の計算
 ⑦仮説検定
 ⑧結果の解釈(3)

2.1モデルの選択
マーケットモデル
この他にも収益率の平均値を用いたConstant-Mean-ReturnモデルやCAPM,APTなどを,予測収益率を計算する際のモデルとして用いることが可能。しかしCampbell et al.(1997)によれば,イベント・スタディを行う際に,マーケットモデル以外のモデルを使うことの利点は特に無いことが述べられている。(注2 3)

2.2超過収益率の計算

2.3超過収益率の集計化

2.4検定統計量

3データ
3.1企業不祥事の分類
以下の6つに分類
グループA ProductLiability(製造物責任)
 製薬,自動車,食品,電気製品,精密機械などの分野で製品に欠陥や表示の偽装が発見され,大量のリコール,製品・企業への信頼損失,多額の損害賠償責任を負うケース
グループB CorporateCompliance(法令遵守)
 粉飾決算やリコール隠し,談合,贈賄,架空取引などの企業の不正や財テクの失敗がふれに含まれる
グループC 特許問題に伴う不祥事
 特許侵害で訴訟に至るケース
グループD 生産拠点の損壊
 工場火災や船舶の事故・炎上など
グループE 環境汚染に関する事件,事故
 汚染物質の廃棄など

3.2イベントの確定
1990年から2000年までの11年間
イベントの総数は51
グループA 15
グループB 15
グループC 7
グループD 7
グループE 7
東証1部・2部上場企業を対象,日経テレコン21を用いて,
上記の不祥事に関するキーワードに基づき検索
イベント日は,日経4紙(日本経済新聞,日経産業新聞,日経流通新聞MJ,日経金融新聞)に最初に記事が掲載された日付に設定
イベント日が,休祝日であるために東京證券取引所で取引が行われていない場合は,日経4紙に不祥事が報道された日の直近の営業日がイベント日に設定。(7)
推定期間 100営業日
イベント・ウインドウ イベント日の前後20営業日,すなわち41日間とイベント日の前後1営業日,すなわち3日間に設定
イベント日41日間と設定・・・不祥事に関する事前の情報漏えいあったかどうかを検討できる
イベント日を3日・・・新聞報道に含まれていたニュースが株価に影響を与えたかどうかを知ることができる。(8)

3.3収益率の計算
日経Amsusより採録
作業に必要な市場ポートフォリオや各企業の株価は,
TOPIXと各企業の株価の終値を用いている。
市場収益率と各企業の収益率は,TOPIXや株価の対数値の差分を取ることにより計算されている。(8)

4推定結果
【後日詳細に確認要】

5おわりに
推定結果
①企業の不祥事は株価に対して有意に負の影響を及ぼすことはなく,したがって不祥事を起こした企業の株式を持ち続ける事は株主に損害を与える可能性が低い。
②法令遵守に違反した不祥事に限っては,新聞報道により情報が公開される以前に市場参加者は不祥事の情報を入手しており,また新聞報道に含まれる情報も株価に負の影響を与えている。
③環境汚染に関する不祥事の場合,不祥事発覚後にその企業の株式を購入することにより利益を得られることが否定できない。(11-12)
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/114943547

この記事へのトラックバック