食品表示偽装『不二家事件』を教訓に…『ルール』を守ることの大切さ

不二家の問題点

2007年に起きた『不二家事件』は、「賞味期限切れの材料でお菓子を作り、販売した」というニュースを皮切りに、次から次へと不二家の杜撰な経営体制が明るみに出て事件でした。

まずは、この事件で指摘された問題を簡単にまとめてみます。

【期限切れ原料の使用】
消費期限切れの牛乳を使用したシュークリームを出荷、販売。
しかも、数年前から数回にわたり、同様の処理が行われている。

【不正表示】
プリン、シュークリームの消費期限を社内基準より1日長く表示することが頻繁に行われていた。(平成16年6月~18年10月)
現場担当者、製造課長、生産管理課長、工場長と関係者全員が表示を容認。

【基準を超える細菌を検出、回収措置とらず】
洋生菓子出荷後の細菌検査で、1グラム当たり10万個の基準を大きく超えたことが6回。
その事実が発覚した後も、回収せずに事実を隠ぺいし、放置する。

【ずさんな衛生管理】
04年に1ヶ月でネズミ50匹が捕獲されるなど、ずさんな衛生状態も報告される。

【国のマニュアルにも従わず】
国の検査マニュアルに従わず、生のイチゴを除去しないまま細菌検査をしていた。

【現場とのコミュニケーション不足】
社長は「会社の体質に重大な問題がある」と認めながらも、期限切れ原料使用した件や細菌数の超過した洋生菓子の品目や出荷数量については「調査中で詳細は知らない」と繰り返した。
現場からの報告が十分に上がっていないことがうかがわれる。
また、経営陣が現場から遠ざかっていたため、工場ごとの裁量に任された部分が大きい。

【マニュアルの運用、チェックがされていない】
「食品衛生マニュアル」はあっても、実行されず、チェックもされていない。
多量の細菌検出など大きな問題が生じても、現場の判断で処理されて、本社の経営陣の耳には届いていない。

【食品安全より利益追求の姿勢】
同社は主力の洋菓子事業で03年3月期から4年連続の営業赤字を計上し、同事業の立て直しを急いでいた。このため、食品安全よりも出荷・販売が重視された結果になったのでは、と思われる。

【記録なし】
消費期限切れの原料を使用したことは、従業員によって認められたが、使用した食材の記録などが残っていないため、出荷数量や出荷先、詳しい時期までは不明。

【事実の隠ぺい】
昨年11月に、「消費期限切れの原料使用がマスコミに発覚すれば、雪印乳業の二の舞いになることは避けられない」などと書かれた社外秘文書を作成し、隠ぺいを図ろうとした。



ルールは『守る』時代!

不二家のお菓子といえば、誰もが子供の頃から大好きだったお菓子のひとつではないでしょうか。
この事件は、消費者の信頼だけでなく『夢』まで打ち砕いてしまいました。

さて、以上の問題点の中から浮かび上がってくるのは、経営トップから現場の管理者に至るまでの危機意識のなさでしょう。

会社全体で『安全な食品を届けなければならない』という意識が麻痺してしまっているようにしか思えません。

消費期限が過ぎたものを原料と使うことに対する違和感。
ネズミが多いことに対する違和感。
細菌検査における基準オーバー発生の多さに対する違和感。

このような『違和感』は、最初は「変だ」と思っていても、『馴れ』や環境のせいで、次第に頭の片隅に追いやられてしまいます。

不二家にも、『衛生管理マニュアル』は存在しています。
しかし、それを無視することが、次第に『違和感』と感じられなくなってしまったのでしょう。 

ルールは存在するだけではなく、守らなくては意味がありません。

ルールを守るために大切なのは『何故このルールが必要なのかを認識する』こと。
そして、そのためには、「何を」「何故」管理するのかを明確にしておくことです。

「何が問題なのか?」
「問題を解決するためにルールが必要か?」
「ルールは適正か?」
「ルールどおりに実行しているか?」
「実行した記録を残しているか?」

単にルールを作るだけでなく、こういったことを視点に入れてルールを作ることが大切です。

食品安全マネジメントシステムISO 22000において、単なるルール作りではなく、コミュニケーションや教育訓練といったソフト面が重視されているのは、『ルールは守らなければ意味がない』ということを、イヤと言うほど思い知らされてきたからです。

『ルールを作るだけ』の時代は、もう終わりです。


◎ひとこと

不二家は、長い間子供たちに夢を与えてきました。
今回の事件で一番被害を受けたのは、子供たちかもしれません。
『どうして、不二家のお菓子は買えなくなっちゃったの?』
子供たちに聞かれたら、こういう風に教えてあげましょう。

『決まりを守らなかったから』
『悪いと知っていて悪いことをしたから』
『嘘をついたから』

なんだか、イソップ物語のネタにでもなりそうですね。
夢を壊した代わりに、教訓を与えてくれた、というところでしょうか。