【MHP 2nd】第75回 史上最大の過ち・顛末記

 会社の自席でクーラーの風に冷やされ、ほげほげしながら『2nd』をプレイしていると、週刊ファミ通編集部方面から佐治キクオが血相を変えて飛んできた。彼は以前、このコラムでもちょっとだけ紹介したことがあるが、とっぽいあんちゃん風の風貌ながらゲームの腕前はピカイチで、たびたびマスコミ対抗のゲーム大会や先のモンハンフェスタなどのゲームイベントに借り出されるファミ通編集者である。佐治はヤンキー然としたふてぶてしい態度で副編集長(俺のことね)の前で仁王立ちになり、開口一番こう言った。

 「ちょっと大塚さん、見ましたよコラム。何やってんスか!」

 ……ついにバレたか。

 じつは俺は"史上最大の過ち"というコラムをファミ通.comにアップしたあと、いつ佐治キクオが乗り込んでくるか、内心ビビりまくっていたのだ。伏線はこちらを読んでいただきたいが、じつは俺が上書きして消してしまったネコ双剣のクエストは、モンハンフェスタ決勝大会の会場で佐治キクオがダウンロードしてくれたものだったのである。イベント終了間際になると、俺はコメント取りやらカメラマンへの撮影指示やらでトイレに行く暇もないほど忙しくなってしまう。当然ながらクエストをダウンロードするヒマなどまったくなくなってしまい、俺はカメラマンと打ち合わせなどをしながら徐々に徐々に、焦り始めていたのだ。(ははは早くしないとネコ双剣クエストを手に入れられなくなる!!!!)。カメラマンの声を上の空で聞きながら、俺はネコ双剣クエストのことばかり考えていた。

 そこにのこのこと、佐治キクオが現れた。俺の頭の上に、「!!!!!」と、ビックリマークが5個ほど飛び出す。いつもどおりのふてぶてしい佐治の姿が、このときばかりは天使に見えた。彼の肩甲骨あたりから、白くて穢れないきれいな羽根が生えているのが見えた気がした。(ててて、天使が現れた!!!)と俺は思った。

 「うぃ~っす」と佐治は言った。いつもどおり、副編集長を1ミリも尊敬していないことが一発でわかる男らしい口ぶりである。そんな佐治にむかって、俺は猫なで声を発した。


 「ねぇ、佐治クン♪ 頼みがあるんだけどぉ。聞いてくれるかなぁ^^」

 佐治は明らかに「ちっ!」と舌打ちしたあとに顔をしかめ、「なんスか気持ち悪い。とっとと言ってくださいよ」と吐き捨てるように言った。そんな彼に向かって俺は、いまこの場で新規クエストが先行配信になっていること、でも自分は忙しくてダウンロードしているヒマがないことなどを手短に説明した。そして、「佐治クン、お手数ですけどボクの代わりにダウンロードしてきてくれないかなあ? ボクのPSPに^^;」と申し添えた。佐治はちょっと考えたのちに「ああ、いいっすよ」と発言し、加えて「僕は今日はPSPを持ってきていないのでダウンロードできません。なのであとで大塚さんのクエスト、いっしょにやらせてくださいよ」とのたまった。もちろん、俺に異論のあろうはずがない。「いいですいいです。ていうか、ぜひいっしょにプレイしてください。お願いしますお願いします」と、どっちが副編集長なのかわからぬほど平身低頭となり、佐治にPSPを託した。そして晴れて、俺のPSPにネコ双剣を作るためのクエストがダウンロードされたというわけだ。

 ……我ながら説明が長いが、これで佐治キクオが俺の席に乗り込んできた理由がわかったでしょう。彼は非常に憤慨していた。

 「クエスト消しちゃったって、どういうことっスか! せっかく僕がダウンロードしてきてあげたっていうのに!」

 目をむきながら佐治が怒鳴った。俺は小さくなりながらも懸命に反論、というか言い訳をした。

 「ああ、ごめんごめん^^; なんかゲリョスが……^^;; でもサ、佐治クンの苦労は無駄にはしていないんだよ。というのも俺はひとりで、アレがどんなクエストか確認には行ってるからさ^^;;; ギリギリで、佐治クンの働きを役立てることはできたんだよ^^」

 佐治は俺の言い訳をしばし呆然としながら聞いていたが、いきなり血が飛び出んばかりに目を見開き、ツバを飛ばしながらこんなことを言った。

 「なにを見当違いなことを言ってんスか。大塚さんがどうなろうと知ったこっちゃないんすよ!! 大塚さんがクエスト消しちゃったら、俺がネコ双剣作れないじゃないっすか!! そっちのほうが大問題なんすよ!! ったく、たのんますよホントに……」

 ここまで一気にまくし立て、佐治はフーフーとドドブランゴのように肩を怒らせながら自分の席に帰っていった。そういえば佐治が来る前日、まったく同じようなことをスレイヴ間々田にも言われていたのだ。

 やばい……。このままでは副編集長の威厳が……。

 それ以来、俺のPCのデスクトップには『2nd』の公式サイトが常駐している。早くネコ双剣のクエスト、配信されないかなぁ……(涙)。