年の瀬を迎え、テレビや新聞、雑誌では2016年を振り返る企画が目白押しだ。韓国でも政治、経済、社会、芸能などジャンル別にさまざまな「2016年プレイバック企画」が実施されているが、韓国スポーツ界の「2016年10大ニュース」を紹介したい。

参考にしたいのは、韓国の大手通信社『聯合ニュース』が発表した「2016年スポーツ10大ニュース」だ。同通信社は、韓国の新聞・テレビ局など全国57のメディア(地方メディア39社)のスポーツ担当部署にアンケートを募り、1位(10点)、2位(9点)、3位(8点)…10位(1点)と順位別にポイントを設定し、その総得点数で順位を決めている。

まず、10位は斗山(トゥサン)ベアーズの21年ぶりに総合優勝、9位は10年ぶりにACLを制した全北現代だった。

韓国プロ野球とKリーグの優勝の話題がトップ10圏内にギリギリ入った格好だが、それを上回ったのが韓国水泳界の“マリンボーイ”ことパク・テファンだった。

涙の土下座会見までしてリオデジャネイロ五輪出場を嘆願するも、リオ五輪では惨敗。その屈辱をバネにふたたび再起したパク・テファンは、政治スキャンダルに巻き込まれいたことへの同情票もあって8位にランクインした。

もちろん、リオデジャネイロ五輪関連のニュースもランクインしている。「韓国アーチェリー、五輪史上初めて全種目を席巻」が3位に入り、女子ゴルフのパク・インビが116年ぶりに五輪種目として復活した「ゴルフ金メダル」が4位に入った。

ただ、リオデジャネイロ五輪は歓喜に沸く一方で、目標としていた“10-10(金メダル10個、メダル・ランキング10位内)”は果たせず、「リオ五輪で“10-10”の達成は失敗」のニュースが5位となった。

リオ五輪では日本勢の躍進が目立ち、韓国メディアでは何かと日本の比較記事が多かったが、そのショックは今も癒えてはいないのかもしれない。

韓国スポーツ界は今年、エリートスポーツの団体である大韓体育会と市民スポーツの団体である国民生活体育会が統合され、それぞれの傘下にある各種競技団体も統合された。

今後はエリート主義と社会スポーツの融合・共存路線でスポーツ界全体の底上げを目指していくが「体育団体の統合とイ・ギフン大韓体育会会長体制のスタート」が7位に入ったことは、リオ五輪で突き付けられた現実とも無関係ではないだろう。

さらに言えば、今年の韓国スポーツ界はスキャンダルな事件も多かった。

4月にはショートトラック・スケート選手たちの違法スポーツ賭博、5月にはKリーグ全北現代の審判買収発覚、8月には水泳韓国代表選手の女子更衣室盗撮など、不祥事が相次いだ。

特に韓国プロ野球は、シーズンオフには現役プロ野球選手と人気チアドルとのドロ沼名誉棄損トラブル、3月には現役選手の飲酒運転、6月には韓国プロ野球KTウィズの公然わいせつ、7月には八百長問題など、不祥事続きだった。

そうしたこともあって、「プロスポーツ、八百長・審判買収などの非理に病む」が10大ニュースランキングで6位に入っているが、栄えある1位に選ばれたのもスキャンダラスなニュースだった。「スポーツ界も揺るがした崔順実(チェ・スンシル)ゲート」がダントツ(513ポイント)で1位に選ばれているのだ。

今や日本でもすっかり有名になった“崔順実スキャンダル”。そのキッカケはスポーツ界での事件が口火となり、フィギュア女王のキム・ヨナや新体操の妖精ソン・ヨンジェ、さらには前出の水泳“マリンボーイ”パク・テファンにまで飛び火しただけではなく、再来年行われる平昌(ピョンチャン)五輪にも悪影響を及ぼしている。

コンピュータ囲碁プログラム「AlphaGo」と対局して世界から注目を集めたイ・セドル九段がなぜか「スポーツ界10大ニュース」の2位に入ったものの、こうしてみると、幻滅させられるニュースのほうが多かったようにも思える2016年の韓国スポーツ界。来年は明るいニュースで「10大ニュース」が飾られることを願うばかりだ。

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書に『祖国と母国とフットボール』『イ・ボミはなぜ強い?〜女王たちの素顔』『ヤバいLINE 日本人が知らない不都合な真実』など。訳書に『パク・チソン自伝』『サムスンだけが知っている』など。プロデュースに『ザ・日韓対決 完全決着100番勝負』『韓流スターたちの真実』など。日本在住ながらKFA(大韓サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)に記者登録されており、ニュースコラムサイト『S-KOREA』編集長も務めている。

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