VW Badge. Credit: Gerry Lauzon/Flickr

フォルクスワーゲンが行った不正行為とはどういうものなのか?

Posted 1 years 9 months ago

世界自動車第2位のVolkswagen AG(フォルクスワーゲン)がEPA(米環境保護庁)のディーゼルエンジン車の排気ガス規制を切り抜けるために、車両に特殊な装置を取り付けて、排出する排気ガスの環境汚染物質を実際よりも少なく見せかける不正行為を行っていたことが自動車業界全体を揺るがす状況へと発展している。

エンジンの制御コンピューターに組み込まれた不正処理機能

しかし、一体、フォルクスワーゲンはどのような手段を講じることで、EPAによる排気ガス規制値を切り抜ける不正行為を働いていたのだろうか?

これまでに明らかになった内容を総合すると、フォルクスワーゲンは、ディーゼルエンジン車のエンジン制御用コンピューターに特殊に処理を組み込むことにより、EPAがディーゼルエンジン車の排気ガスの排出試験を行う、実験条件の元で車が走行している場合には、エンジンの出力を低く抑えることにより、排気ガス中に含まれる環境汚染物質の量を少なくしていた疑いがもたれている。

一連の報道によると、このシステムは非常に巧妙に作られており、EPAの実験環境条件を検出するために、実験環境の走行スピードなどだけでなく、ハンドル操作の位置までも認識させていたとされている。

結果的に、このシステムにより、フォルクスワーゲンのディーゼルエンジン車は、実際に公道を走行した際に排出する環境汚染物質の量は、EPAの実験環境条件下での量の40倍にも達するなど、恐ろしく「汚い」排気ガスを環境中にまき散らしていた可能性が浮上している。

EPAによる罰金額は最大で187億ドルにも及ぶ恐れ

フォルクスワーゲンが行った発表によると、この不正技術が組み込まれているのは、「Typ EA 189」というディーゼルエンジンを搭載した車両で、対象車両数は、約1100万台に及ぶとしている。

そして、1100万台の内、米国内で販売されたのは50万台だとみられている。

EPAによる環境基準規制違反による罰金は1台あたり最大で37500ドルになることが予想されており、結果的にフォルクスワーゲンは今回の不祥事により、最悪で187億ドル(約2兆2500億円)という天文学的な罰金が科せられることとなる見通しとなっている。

ただし、米国で販売された問題車両は氷山の一角であり、欧州当局も同等な罰金を科した場合、フォルクスワーゲンは業界のトップ争いからは脱落するどころか、深刻な経営難に陥る可能性も生じることとなる。

不正行為は一体誰の主導で進められたものなのか?

しかし、それでも判らないのは、一体、フォルクスワーゲンのような名実ともに世界の一流企業としての評判を冠してきた企業がなぜ、このような明らかな不正行為(詐欺といってもいいかもしれないし、実際に、米司法当局は刑事事件として捜査に着手するだろう)に関与することになったかである。

今のところ、この焦点となる人物は、フォルクスワーゲンAGのMartin Winterkorn(マーチン・ウィンターコーン)CEO自身に疑惑の目が向けられている。というのも、彼は、Ferdinand Piech(フェルディナント・ピエヒ)元会長との間で熾烈な権力闘争を繰り広げていたからとなる。

一部では、ウィンターコーンCEOは、ピエヒ会長との力関係を優位に運ぶために、ディーゼルエンジン車で持ち上がった環境規制値問題を安易な方法で解決する方法を選択したといった憶測も生じている(CEOがこうした不正行為に関与したというのは、一般的には考えにくいがディーゼルエンジン車に搭載されていた不正機能は、開発部門全体が関与しなければ成立し得ないものであり、これほどの不正行為を開発部門が現場の判断で行うということもまた考え難いとしか言いがようないだろう)。

ただし、これはあくまでも憶測に過ぎず、フォルクスワーゲンの誰が、この不正行為を主導したのかは今後の調査を待たなければならないだろう。

現経営陣の総退陣は必至

いずれにせよ、フォルクスワーゲンで持ち上がった今回の不正行為は、不正行為というよりは明確な犯罪行為であり、最終的には、フォルクスワーゲンの現経営陣の総退陣を求めるものとなるだろう。

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