各論

 さて,ここからは,懲戒事由ごとに分けて分析してみようと思います。

  • 横領

 20期代が3人,30期代1人,40期代1人です。いずれも業務停止以上の懲戒を受けており,業務停止2年や除名という処分を受けているケースもありました。
 見てのとおり,横領で懲戒を受けるのはベテランということが明確に分かりました。まあ,焦げ付いてしまうほどの金銭を横領できるのは,年数を経たベテランだけ,ということなのでしょうけれども。
多額の金銭を扱う財産管理人など回ってきたことのない若手からすると,非常に不公平感が否めません。報酬がほとんど見込めない成年後見事案を多数経験している当職からすると,横領事案を聞くたびにやる気が減退していきます。財産管理人をベテランにさせるなら,若手と共同受任ないし補助者として関与させて報酬を分けてはどうでしょうかねえ。若手は仕事が勉強できて,報酬ももらえて嬉しい,依頼者もフットワークが軽い若手が担当してくれて嬉しい,ベテランは報酬が減らされて横領もできなくなっちゃって哀しい,といいことづくめです。


  • 非弁提携

 0期代に1人,10期代に1人,20期代に2人,30期代に1人の,合計5名です。このほか,「業務停止中の業務」の者(1名,10期代)の原懲戒も非弁提携だったような気がします。
 期が上のベテラン勢ばかりです。察するに,経済的に困窮していて,判断力が低下しているベテラン弁護士が食い物にされているのでしょうか。新人がそういう勢力に取り込まれているケースも今後出てきそうです。
 処分も業務停止1ヶ月から退会命令までと,非常に重い処分が下っています。非弁提携者は累犯傾向があるようですので,当然といえば当然です。こういう不良ベテランをどうフォローしていくかについては,日弁連が力を入れて取り組むべき事業ではないかと思われます。

  • 不祥事

 20期代に1人,50期代に1人,60期代に4人の合計6名です。50期代の者も50期代後半であることから,若手に多い懲戒類型であると思われます。
 上記の分析のとおり,懲戒を受ける弁護士の多くはベテランではありますが,このように若手が多く懲戒を受けている類型もあるわけです。我々若手も襟を正さねばなりません。
 特定をするのは本意ではないので事案の内容に踏み込むのは躊躇われますが,セクハラや性的な犯罪等が目立っていました。

  • 弁護過誤

 これは,期の上下を問わず,満遍なく(?)いました。個々の弁護過誤の内容が違うので,統一的な分析はしにくいですが,老若男女を問わず受けかねない懲戒事由ということで,一寸先は闇ということは分かりますね。

  • 過大報酬

 0期代が1人,20期代が3人,30期代が2人,50期代1人,60期代1人。
 ベテランが多いですが,若手も目立ちます。若手のイケイケ弁護士が,調子に乗ってお金を取りすぎてしまうとこうなります。
 ボスから「お金を取りすぎてはいけない」という名言を頂戴した当職も,調子に乗らないようにしたいと思います。

  • 事件放置

 弁護過誤と同様,満遍なくいました。
 ただ,そうはいっても20期代,30期代が多い印象です(14人/29人)。若手はフットワークが軽く,ベテランはフットワークが重いため,こういう結果になるのでしょうか。
 なかなか稼げなくなっている昨今,事件を無理に受任してしまって放置したりすることについては,若手もベテランも気をつけなければなりません。

  • 金銭問題

 典型的には,依頼者から金銭を借りたりしてその返済ができなくなったようなパターンです。
 0期代1人,20期代1人,30期代1人です。戒告,業務停止6月,10月という処分内容ですので,重い事案が多いです。
 先に考察したとおり,こういう金銭問題系はやはりベテランが多いです。当職のような若手弁護士からすると,依頼者との間で金銭を貸し借りすること自体が信じられません。