我が社は絶対に法に触れるようなことはしない、コンプライアンスに徹する、絶対に不祥事は起こさない、と決断しても、大勢の従業員が永い期間にわたって多くの仕入先や顧客と企業活動を繰り返す中で、不祥事や事故は不幸にして起こってしまう。

そのような起こってほしくない事態までも見越して、社内のあらゆる体制を整えておくことがリスク管理であるが、日本ではかなり大きな企業でも、そこまで至っていない。どうあるべきかを考え、今回のミートホープ事件を検証してみたい。


不祥事に臨むトップの初期対応がすべて


・トップ自らが潔く非を認め、すみやかなで誠実な対応を誓うべきだ:
日本の会社はしばしばトップを守ろうとする。また、トップも責任を部下や前任者に転嫁しようとする。これは火に油を注ぐ行為であり、マスコミの恰好の餌食となる。

しかし、このような初期の記者会見で潔くない態度をとるトップが実に多い。東横イン・西田社長のやっちゃいました、スピード違反したようなもの、とおどけてみせたが、その後、一転、前面謝罪の態度に豹変した。

グッドウィルル・グループの子会社コムスンの介護不正請求事件も、当初、折口会長はまったく姿を見せなかったが、介護事業の関連子会社への移管を世論に糾弾され、厚生労働省が実に見苦しい遅ればせながらのクレームをつけると、突如、テレビに出まくり、持論を展開した。が、そこに介護事業への真摯な姿勢は見えず、ただただ、自身の事業継続、すなわち金儲けとしての介護事業へのスタンスが浮き彫りになったばかりである。

今回のミートホープ社の田中稔社長の記者会見はひどく見苦しいものだった。最初に豚肉が混じった、という言い方で偽装を否定し、次いで工場長に責任を転嫁し、のらりくらりと記者の質問をかわす見苦しい姿に、ついにみかねた長男の田中等取締役が「社長、本当のことを言って下さい。お願いします」と訴え、偽装行為が自らの指示だったことをようやく認めた。
トップが関与した時点でこの会社の継続はありえない。が、そんな切迫感すらなく、ごまかせると踏んだのか、マスコミをなめた対応であった。何が起こり、どこへ行こうとしているのかがイメージできていなかったのだろう。

あらゆる不祥事、不都合を早期に明らかにすること


もう、こうなった上は会社が存続できるかどうかである。したがってウミはすべて出し切らねばならない。マスコミに先手を取られているようでは負けなのだ。

これもなかなかほとんどの企業でできない。雪印はマイクをしつこく向けるマスコミに、石川社長が「私は寝てないんだ」と発言。報道陣から「こっちだって寝てないんですよ。そんなこと言ったら食中毒で苦しんでる人たちはどうなるんだ!」と猛反発。決してみせてはいけない姿を見せてしまった例ですよね。

今回のミートホープ社の田中社長の場合、社長がすべてを仕切っていたわけで、社内調査の必要もなく、すべてを告白できたのに、それをせず、どんどん連日マスコミがこれでもかとミートホープの悪事、すなわち田中社長の悪事を暴きたてました。こんな会社が給食の材料を納品し、加ト吉と取り引きし、生協の製品にまで流れていたのかと思うと背筋が寒くなりましたね。
田中の考えた方はまるで一部の中国人のようで、自分のフトコロさえふくらめば、人の健康が蝕まれようが知ったことではない、その場で死にさえしなければ、とすら思えます。

業界では常識でも世間の常識を知れ!


業界ではみんなやっていることだからとの理由でけじめをつけないと、企業力の弱いところから順番に市場からの退場を迫られる。
今回の例では、実はこの項が一番、恐ろしく一番知りたい部分である。食肉業界とはこういう業界なのか、ということ。その可能性が大いにあると思われる。