企業内不祥事の一つの対処法_内部調査委員会・第三者委員会

☆設例
先日、私の会社に労働基準監督署の調査が入りました。
調査官からは「今回は行政処分を下さざるを得ないと言われてしまいました。
調査対象となった件は、私も承知しており、争うつもりはありません。
しかし、従業員の動揺は最小限に抑えたいし、取引先等に生じ得る風評被害は避けたいのですが、何か具体的な方策はあるでしょうか?

 
☆次の一手
企業内不祥事が起ってしまった場合、やみくもに箝口令を敷いたりして、不祥事の存在を揉み消そうとすると、かえって事が大きくなる場合も少なくありません。
そこで、企業内不祥事が起こってしまった場合の対策として、内部調査委員会や第三者委員会を立ち上げて、不祥事の原因と真摯に
向き合うことをお勧めします。
「真摯に向き合う」ことの具体的内容は、不祥事の原因を究明し、その責任の所在を明らかにして、今後の対応策を講じることでしょう。

 
・内部調査委員会とは
内部調査委員会は、企業内不祥事に対処するため、企業経営陣とは独立の立場で不祥事を検証する社内の機関です。
社内と言っても、原因究明のために、税理士、弁護士など社外の専門家や大学教授・研究者などの学識者が委員として加わったり、
預金保険機構がオブザーザーとして関与したり(金融破綻の場合)もします。
企業不祥事の対応策として調査委員会を立ち上げて原因究明を
図るケースは、今では一般的とも言えますが、この内部調査委員会の調査結果が予定調和的に過ぎると、かえって世間の風当たりが
強くなり、不祥事の沈静化に悪影響を及ぼしかねません。
そこで、最近では、不祥事発覚後すぐに内部調査委員会を立ち上げるも、その調査結果の公表を待たず、次に述べる「第三者委員会」による調査へと引き継がれることも少なくありません。

 
・第三者委員会とは
第三者委員会は企業等から独立した委員のみをもって構成され、
徹底した調査を実施した上で、専門家としての知見と経験に基づいて原因を分析し、必要に応じて具体的な再発防止策等を提言するタイプの調査委員会です(参考:日弁連ガイドライン)。
この第三者委員会の構成員は、純然たる社外の専門家のみですので、そのような委員構成の点からも、調査委員会の独立性が客観的に担保されているといえます。ここが内部調査委員会との一番の違いでしょう。
ただし、第三者委員会は、それまでは対象企業と何ら取引関係の
なかった外部の専門家に社内の調査を依頼する点で、内部調査委員会調査より費用が嵩んでしまうというデメリットもあります。

 
・内部調査委員会か?第三者委員会か?
実際に企業内不祥事に悩んでいる経営者が、その事後的対応策として、内部調査委員会による調査で済ますか、第三者委員会による調査まで行うか否かは、その不祥事の規模や内容、世間への影響度、回避すべき事態の内容や蓋然性を総合的に考慮して、ケースバイケースで判断するしかないでしょう。

経営相談室では、自らも同友会会員である専門家(弁護士、税理士、公認会計士、社労士、経営コンサルタント、など)が、随時、会員からの経営相談を受け付けています。
場合によっては、経営相談室メンバーが委員となって、第三者委員会として会員企業のコンプライアンス・チェックを行うことも可能です。
企業内不祥事への対応策も含めて、お気軽にご相談ください。

 
(文責:愛知市民法律事務所 弁護士 淺見 敏範)

 

(2015年2月27日配信)

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