• LIBORや外為市場の指標レート操作など受け関心高まる
  • ダドリーNY連銀総裁の肝いり、実現にはハードルも

金融危機そして、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)や外国為替市場の指標レート操作などで名声が傷ついたウォール街の金融機関が、なかなか汚名を返上できずにいる中、バンカーの表沙汰にならない不祥事を非公開のデータベースに名指しで登録し、担当採用マネジャーが一覧できるようにする案が勢いを得ている。

  トレーダーやバンカーが金融機関を辞める際、その会社の倫理・行動規則に在職中に違反した事案があれば全て中央のデータベースにリストアップし、他社の採用担当が記録を閲覧してその人物を雇い入れるかどうか参考できるようにする仕組みだ。ニューヨーク連銀のダドリー総裁の肝いりで、こうした規則の違反者が容易に金融機関を渡り歩けぬようにする狙いがある。英国では来年3月に同様の計画が実施される。

  多数の米大手金融機関の代理人を務める法律事務所サリバン・アンド・クロムウェルのロジン・コーエン上級会長は「あちこちの金融機関に勤めては大きな損害を引き起こすたちの悪い人々は後を絶たない」と指摘。主に問題なのは解雇されたか、解雇に「一歩先んじて」他社に移籍して足跡を隠した人物たちだと説明した。

  金融業界における文化と行動に関するニューヨーク連銀の会議が11月に開かれ、バンカーや規制監督当局者が非公開の場でこのような案を議論した。当局が発表した会議の要旨によれば、何人かの参加者が検索可能なデータベースの整備を提唱。金融機関の従業員が辞めた理由に焦点を合わせるか、「在職中にあった正式な警告・懲戒処分」も含めるかを討議した。

  ウォール街の採用担当マネジャーは現在、就職希望者に逮捕歴や規制監督当局による正式な処罰などの経歴がないか身元調査やインターネットを通じた追跡が可能だ。しかし、以前雇用されていた金融機関の内規違反があったとしても通常、外部には分からない。

  同会議で議論を主導したパネリストや司会者にはシティグループ、ゴールドマン・サックス・グループ、モルガン・スタンレー、JPモルガン・チェース、ドイツ銀行、UBSグループなどの幹部が含まれる。ダドリー総裁は閉幕の発言で、業界がデータベース化の実現に向けて取り組むよう促した。

ハードル

  ただ、データベースの実現には幾つかの大きなハードルをクリアしなければならない。金融機関幹部や弁護士は、元従業員の不正行為を報告する金融機関に法的責任をめぐる保護を講じるための法整備が必要になるだろうと話す。

  金融機関幹部はまた、元従業員が法廷で登録内容に異議を申し立て、誤った非難には自己弁護できるようにしなければならないと説明。不正行為の記録を特定の期間後に消去するようにするかや、トレーダーや幹部以外に情報技術担当者もデータベースの登録対象とするかなども課題だ。

  米国で現在議論されているシステムは当初、連邦準備制度理事会(FRB)と連邦預金保険公社(FDIC)、通貨監督庁(OCC)の監督下にある金融機関を対象にし、金融機関からの情報を使って当局が維持に当たる構想だ。資産運用会社やヘッジファンド、プライベートエクイティ(PE、未公開株)投資会社は後から参加できるようになる形が考えられる。