2013年2月15日 (金)

奈良県立奈良病院事件に最終決着

そういえば、私が以前評釈した奈良県立奈良病院事件が、最高裁の上告不受理という形で最終的に決着したようです。

あまりにも当たり前の結論を決着させるまで、よくぞここまで頑張ったものだな、という気もしますが、まあ、おかげでこの分野に最高裁が是とした判決が残ることになったわけでもあります。

当直勤務の際、過酷な労働に見合う割増賃金が支給されていないとして、奈良県立奈良病院(奈良市)の産婦人科医の男性2人が、2004~05年分の未払い分の支払いを県に求めた訴訟で、最高裁第三小法廷(大谷剛彦裁判長)は県の上告を受理しない決定をした。12日付。請求を一部認めて計約1540万円の支払いを県に命じた一、二審判決が確定した。

県は夜間や休日の当直1回につき一律2万円の当直手当を支給していた。2人は「勤務実態を反映した額になっていない」と06年に提訴。「当直中の分娩(ぶんべん)が常態化しており、通常勤務と同様の労働だ」と主張し、労働基準法で定められた時間外・休日の割増賃金を支払うよう求めていた。

09年4月の一審・奈良地裁判決は「当直中の分娩も少なくないうえ、帝王切開などの異常分娩、救急医療への対応もしている」と指摘。当直を割増賃金の支給対象と認め、未払い分の支払いを県に命じた。他方、緊急事態に備えて医師が自宅に待機する「宅直」は支給の対象外とした。10年11月の二審・大阪高裁判決も一審判決を支持した。

医師側勝訴で決着したことで、当直手当だけで実質的には日勤の時間帯と変わらない仕事を医師に求めている医療機関は、早急な待遇改善を迫られそうだ。

厚生労働省は2002年、夜間・休日の「宿日直勤務」で認められるのは、原則として病室の定時巡回などに限られ、夜間は十分な睡眠時間が確保されなければならない、と当直勤務の要件を示す通達を出した。

しかし、その後も、労働基準法違反を指摘される医療機関が後を絶たず、11年は労働時間に関する違反や割増賃金の不払いなどが1543件に達した。

県立奈良病院の04年の分娩(ぶんべん)数のうち約6割に当たる397件は医師1人態勢の夜間か、休日の宿日直帯の分娩だった。当直医は帝王切開手術などの異常分娩や入院患者や救急搬送される患者の治療にも当たった。

「日中と変わりない仕事を1人でこなすのは無理。夜間・休日も複数の医師を配置し、勤務後は帰宅できる交代制にしてほしいという思いから提訴した」と原告の医師(53)は語る。小児科医の江原朗・広島国際大学教授(医療政策)は「最高裁の決定は時間外に医師を働かせるにはそれに応じた人件費が必要という当たり前のことを病院経営者が理解する契機になるだろう」と話す。

地裁段階の私の判例評釈はこれです。

また、本ブログ上でもこの問題については結構何回も取り上げてきました。

コメント

当たり前を当たり前とした良い最高裁判決だと思います。

投稿: 江原朗 | 2013年3月 3日 (日) 09時55分

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