「酔い潰れた私は、みずほ銀行幹部行員にレイプされた」――部下だった女性行員が覚悟の告白!

上司とともに向かった取引先との会食の後に彼女を待ち受けていたのは、目の前が真っ暗になるような悲劇だった。みずほ銀行の同じ支店の男女の間でそのレイプ事件は起きた。彼女は現在も不眠の日々を送る。「うやむやにはできない」と決意し、本誌に一部始終を告白した。

「このようなことを打ち明けるのは本当に辛いですし、私の今後の人生にも影響が出てしまうと思います。でも、あの日の出来事はどうしても許すことができません。事情を知りながら何もしてくれない銀行にも怒りを感じています。だから警察に被害届を出し、こうして話す決心をしました」。絞り出すように話し始めたのは、みずほ銀行の都内支店に勤務する30代のA子さん。約10年前にみずほ銀行に特定職(基幹職総合・基幹職専門・特定職というみずほ銀行行員の3つの職種のうちの1つ。主に窓口業務や事務業務に従事し、遠方への転勤はない)として採用された後、個人営業を担当する部署に配属されたが、そこでの好成績が認められ数年前に基幹職総合に昇格した。優秀な行員を表彰する『みずほアウォード』を何度も受賞した経歴からはバリバリのキャリアウーマンを想像させるが、その風貌は柔和なお嬢様タイプに映る。“あの日”を振り返るA子さんの声はわずかに震え、うっすらと涙が浮かぶ。それでもA子さんは、自らに言い聞かせるような口調で順を追って語り始めた。「昨年11月の終わりのことです。私は個人営業をかけていたお客様から会食のお誘いをいただきました。私の勤める支店と取引のある上場企業の経営者でした。商談の場とはいえ2人きりでの飲食に躊躇もあったので、同僚男性に同席をお願いしました。そのお客様が経営する企業を担当している法人営業部の男性社員で、社長からの同席を快諾していただけたので安心していたんです。まさかそこに来た上司が……なんて思いもしませんでした」




会食に付き添ったのは法人営業の男性行員、そしてその上司で管理職の40代後半のB氏だった。法人担当はA子さんと同年代の同僚だったが、一回り以上年齢が違うB氏とは「挨拶をしたこともあるかどうかという関係」(A子さん)だった。2人は何度かゲストの経営者との会食の経験があったようで、A子さんは会食前に「お酒好きの方だから、勧められたらどんどん飲むように」とアドバイスされていたという。会食の場所は、B氏が決めた高級フレンチの個室。聞かされていた通り、ゲストはかなり早いピッチでワインやシャンパンのボトルを空けていった。「白ワインに始まって、赤ワイン・シャンパン……。強引に飲めという感じではありませんでした。『このペースに付き合うのはまずいかな』と思ったけど、大事な接待だし、私が飲むとお客様も嬉しそうだったので、次々と杯を重ねました。あまりの早さにお店の人が注ぐ暇がなくなり、途中からはお客様自ら手酌していたほどでした」。A子さんは決して酒に弱くはないが、「立て続けにグラス10杯くらい一気飲みした」というハイペースはさすがに無理があった。大口の商談というプレッシャーも相俟って酔い潰れてしまったという。「飲み過ぎたため、最後私は個室の中で吐いてしまいました。それでも『よく飲むね』と褒められ、会は盛り上がりました。お客様はまだ飲み足りないようでしたので、Bが酔った私を家まで送り、お客様は法人担当と2次会に行くことになりました」。ゲストを見送ると緊張の糸が切れ、さらに酔いは回った。レストランからA子さんが一人暮らしするマンションまでは車で10分程度だったが、泥酔状態のA子さんはB氏とともにタクシーに乗り、そこで記憶を失ってしまった。

そして次に気づいた時、「自室のベッドで、なぜか全裸で横たわっていたんです」――。A子さんが朦朧と辺りを見回すとそこは自宅だった。どうやって自宅へ戻ったのか、誰が鍵を開けたのかもわからない状態だったという。「自分が裸になっていることに気づき、怖くなりました。暗がりに誰かいると思って目を凝らすとBでした」。A子さんの声は一度途切れ、話すのを躊躇う。だが、覚悟を決めたようにその後の出来事をこう振り返った。「Bは突然、私に覆い被さってきました。彼も裸になっていた。私は頭が朦朧として体に力が入らない。体を揺らしたりして必死に抵抗したのですが、力ずくで押さえられました。酔いのせいで頭が痛くて一言の言葉も出せなかった。やがて抵抗する気力も体力もなくなり、『早く終わって』と思いながら時が過ぎるのを待ちました」。悪夢のような時間が過ぎると、B氏はA子さんに顔を寄せて、「俺は酔っ払っていないから大丈夫なんだ。君は酔っ払っちゃったね」と言い残し、服を着てA子さん宅を後にしたという。「動けない女性を暴行するという行為が信じられません。私はその日生理中で、ベッドには血の塊が残っていました。着けていた生理用品は引き抜かれていました」。B氏が去ってからしばらくして正気を取り戻したA子さんが部屋を見渡すと、会食に着ていった黒いスーツがハンガーにかけられ、部屋のテーブルの上にブラウス・ストッキング・下着が畳んで置いてあった。「私は酔って帰宅すると、いつも脱ぎ散らかしたまま寝てしまうんです。おそらくBが畳んでいたのでしょう。気味が悪くて、スーツはそれから一度も触れていません」

翌朝、起床したA子さんの両脇には暴行された跡と思われるアザがくっきりと浮かび上がったという。ショックが収まらないA子さんは、「今日は休ませてください」と職場に電話を入れた。その後、自宅で呆然としていると、何度も知らない番号から電話があった。放っておくとショートメールが数通入った。A子さんの電話番号を同僚から聞いたB氏からだった。「A子さん、昨日は大変無茶な飲み方をさせてしまい、本当に申し訳ありませんでした。猛反省しています。B」「本当に申し訳ありません。もしも良ければお見舞いに行きたいのですが。また、必要なものがあれば買って行きます」。“無茶な飲み方”への反省はあるが、A子さん宅での出来事については何も触れていない。A子さんに記憶があるかどうかを探っているようにも読める。同じ日には、一緒に仕事をする機会の多い先輩行員からも連絡があった。「昨日の接待は頑張ったみたいだね」と労いの電話だったが、A子さんの様子に異変を感じ「何かあったのか」と問い質された。「嘘をつくこともできず、『実はこんなことがあった』と話しました。すると神妙な声になり、『僕に預からせてくれ』と言って電話を切りました。それから少しして『支店長には報告をしていいか』と確認されたので了承しました」。その翌日にA子さんが出勤すると支店長から呼び出され、支店長はA子さんの顔を見るなり「大丈夫か?」と声をかけたという。「娘さんがいる支店長は怒りを露わにして『許せない行為だ』とも言っていました。私が取り乱してしまい『Bがいる職場にはもういられない』と言うと、支店長から『キャリアを積み上げてきて、ここで辞めるのはもったいない』と慰留されました。そこまで言うからには、きっときちんとした対処をしてくれるのだろうと少し安心しました」

支店長に訴えたその日、A子さんはいつもと変わらぬ様子で出勤していたB氏に遭遇したという。「取引先と行員による研修会が開かれる日で、私もBも出席する予定でした。会合の直前にBが近くに来て、『ちょっと時間いい?』と声をかけてきたのです。私は『無理です』と断ってその場を離れました。それ以来、Bとは一切接触していません」。さらにその翌日、A子さんに人事部から連絡が入り、当日の詳細を聞かれた。同じ日に支店長から「Bと接触するな。会社を休め」と言われ、A子さんはそれから4日間休みをとった。「その間もBは出社していると聞いたので、『どうして被害に遭ったほうが休まなければいけないのか』と聞くと、人事部からは『顔を合わせると辛いだろうから配慮している』と説明されました。でも4日間の休暇は有給扱いでした」。4日後、A子さんが出勤するとB氏は出勤していなかったという。「でも、支店の同僚には『Bは検査入院中で長期間休む』と伝えられていました。それを知って、もしかしたらこのままBには何の処分もされないのではないかと不安になり、銀行の対応にも不信感が募っていったのです」

銀行が最も忙しくなる年末に入り、A子さんも月々の業務に忙殺される。その間、事件の調査やB氏への何らかの処分についてA子さんに説明はなかった。そこで12月上旬、A子さんは父親とともに支店長・人事担当者と面談した。「納得がいかないので警察に被害届を提出することを考えていると伝えると、人事担当者からは『個人間の問題なので(届を)出されるのは仕方ないが、出してほしくないのが本音です』と言われました。人事部が事情聴取したと言うのでBの言い分や処遇を尋ねても、『銀行は中立な立場なので教えられない』と言われるだけでした。ただ、『Bは“誠意を見せます”と言っていた』という説明はありました。また、支店長も『銀行としては早急に対処します』と断言していました。私も父親も然るべき処置が講じられると信じて、その場を後にしました」。だが、約束した“早急な対処”はその後もA子さんに伝えられなかった。さらに、銀行が次のような“妥協案”を提案してきたことにA子さんは不信を深めたという。「事件に対する処置や対処ではなく、私を黙らせるための案でした。支店長からは『どこか行きたい部署や、やりたい仕事はないか』と打診されました。また、『事件のあったマンションに住み続けるのは困難だろうから』という理由で、本来は20代しか入れない寮に入れる特例を認めるというものでした。『それで納得してくれ』と暗に言われているような雰囲気でしたが、私は『事件をうやむやにしてほしくないんです』と強く伝えました。今思えば、この頃から『会社側は私を切り捨てるつもりだったのかな』と思います」

1月初旬、顧客回りをしているA子さんは急性の胃腸炎に倒れる。身体は食事を受け付けなくなった。「限界に来ていたんだと思います。仕事漬けの毎日が当然だったので、あの日の後もそうしなければとやってきましたが、お客様と話をしていても内容が頭に全く入ってこない。毎日眠れず、会社へ行くと動悸が激しくなる。『このままではさすがにまずい』と思い精神科を受診すると、“ストレスによる適応障害”と診断され1ヵ月休むように言われたので、1月中旬から休みに入りました」。しかし、休養中のA子さんに追い討ちをかける出来事があった。「私が休みの間、朝礼で支店長が『A子が起業しようとしている。彼女の情報漏洩に心当たりはないか』と名指しで、パートを含めた全支店員に話したそうなんです。そのことを同僚やお客様から聞かされて信じられない思いでした。私の悪い噂を流して陥れるような……。事件を聞いて『許しがたい』と憤り、早急な対処を約束した支店長の言葉はどこへいってしまったのか。それ以来、頻繁に連絡をくれていた先輩行員も連絡してこなくなりました。そして、『A子さんの後任が来ていますよ。辞めるんですか?』と後輩から連絡を貰い愕然としました。その後任に私のお客様を引き継ぐ準備をしているそうです。仕事も信頼も何もかも失って気づきました。会社は私に辞めてほしかったんだということに。本当に悔しいし、ここまで自分の生活を全て会社にかけてきたのに、情けない思いです」

証言が事実なら、B氏の行為は準強姦罪に問われる可能性があり、それが職務中の出来事である以上、みずほ銀行の対応も問題視されよう。B氏は法人営業と公務担当を兼任し、上場企業から官公庁まで幅広く手懸けるエリートでもある。2人の立場の違いが、会社側の対応に影響しなかったのだろうか。みずほ銀行に質すと、「個人のプライバシーに係わる問題であり、認否も含めて回答は差し控えさせていただきます」(みずほ銀行コーポレートコミュニケーション部)と回答した。「行きたい職場を用意する」発言に関しても同様の回答だったが、「ハラスメント懸案事象が生じた際には、通報者(≒被害者)の要望・意向を踏まえて適切に対応を行うが、隠蔽などを目的とした対応を行うことは一切ありません」と答えた。個人の問題だと言うなら、B氏に個人としての責任の取り方を問わねばならない。B氏の代理人は、「特に用事はないのでお断りします」と言うのみだった。1月末、A子さんは警察に被害届を提出した。B氏も銀行も誠意ある対応をしてきたとは言えない現状では当然の対処だろう。A子さんが続ける。「たくさんのセクハラもありました。それでも文句を言わず続けてきました。仕事に矜持を持って続けていました。でも、本当に酷いのです。この事件をきっかけに、社内の悪しき体質が変わってくれることを心の底から望んでいます」


  2015年2月20日号掲載


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