杏主演『花咲舞が黙ってない』のもうひとつの原作本! 不祥事を見抜く「特命」の仕事とは?

新装版 銀行総務特命 (新装版)

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader発売元 : 講談社
著者名:池井戸潤価格:750円

※最新の価格はストアでご確認ください。

 習字の授業の後、ふと気が付くと手は真っ黒く染まり、その手で触れた机も教科書も知らぬ間に汚れて黒ずんでいた。墨で染まった手は時間が経てば経つほど落ちにくい。意外なところへとベタベタと痕跡を残している。気づいたころには周りにも黒いシミができていて、致命的だ。ひょっとしたら不祥事もそういうものなのではないだろうか。染まってしまった手はなかなか落ちない。かといって隠し通せれば済むというものではない。はやめに洗い流さなければ、企業の未来までもが黒く染まっていってしまう。その色を発している根源はどこなのか。周りにどんな目で見られようと、一刻もはやく見つけ出さなくてはならない。

 『銀行総務特命』は池井戸潤氏著の短編小説集だ。この本は同氏の小説『不祥事』とともに、4月から放送開始の杏主演のドラマ『花咲舞が黙っていない』の原作本である。杏が演じるのは『不祥事』内の主人公・花咲舞だが、この本のストーリーもドラマに大きく影響していくことだろう。昨年大ブームになった半沢直樹に続くヒットとなること間違いない作品をチェックしておかないわけにいかない!

 「特命」といえば、テレビドラマ好きにとっては、警察を舞台とした『相棒』の主人公・杉下右京のイメージが強いが、銀行内の「特命」は、銀行内の不祥事を暴き、大事になる前に対処していく使命を担っている。『銀行総務特命』の主人公は、帝都銀行で唯一、行内の不祥事処理を任された指宿修平。今年は「特命」といえば、『銀行総務特命』となるに違いないだろう。

 顧客名簿流出、現役行員のAV出演疑惑、幹部の裏金づくり…。スキャンダルの真相を突き止めようと指宿修平らが奔走する姿は圧巻だ。どんなに圧力をかけられようと正義を貫こうとするその姿勢は力強い。ある事件をきっかけに指宿とコンビを組むことになる美貌のキャリア・唐木怜の活躍も魅力的。当初、指宿とはあまり仲がよくもなく微妙な距離を保っていたが、2人は次第に互いを認めていく。

 真相に迫ろうとすればするほど組織内で悪い立場に追い込まれていく指宿と唐木。正義とは何なのか。組織とは何か。「倍返し」以上の活躍を見せつける『銀行総務特命』の活躍から目が離せない。行内の権力争いの中で起きる様々な事件を指宿たちは解決することができるのか? 正しいことを貫き通そうとする主人公たちの姿は、理不尽な社会を生きるサラリーマン達にエールを与えてくれる。ドラマとともに、ぜひ読んでおきたい1冊だ。


情報漏洩や行員のAV出演…指宿が不祥事に立ち向かっていく

銀行の暗部が指宿の手によって暴かれる

唐木と次第に良いコンビになっていく

周りに圧力をかけられながらも、任務を推敲しようとする指宿

この記事の画像