2009年1月16日(金)「しんぶん赤旗」

裏金作り、海外が主流

ゼネコン業界 西松だけでない

関係者証言 国内は下請け使う


 「裏金は、この業界では常識」「工事受注のためには手段を選ばない」―。西松建設の海外担当の元副社長・藤巻恵次容疑者らが十四日に逮捕され、ゼネコン業界の裏金に頼る体質が問われています。続発した不祥事を受けて「談合決別宣言」まで出した同業界。しかし、内実は旧態依然のままだとゼネコン関係者らは指摘します。


 西松建設の裏金は、海外事業で不正な経理処理によってねん出して香港の銀行口座にプールしたとされています。「海外を拠点にした裏金作りが最近では主流になっている」と打ち明けるのは、中堅ゼネコンで海外事業を担当していた元幹部です。「建設業界の不正が多いので、国内では司法や税務当局の監視が厳しい。しかし、海外だと目が届かないので資金工作は容易」だといいます。

 典型的な手口は、海外にペーパーカンパニーを設立して、そこの銀行口座で裏金を管理する方法です。裏金は、政府開発援助(ODA)などの海外事業で工事費を水増しするなどしてねん出します。

 さらに“一石二鳥”のやり方もあります。外国高官の親族企業などに報酬分も含んで事業発注を行い、一定額をキックバック(割り戻し)してもらい、裏金の新たな原資にするというのです。

 西松建設は、国内でも裏金作りをおこなった疑いがもたれています。東京地検特捜部の捜索先には、西松建設関連会社から多額の融資を受けながら返済した形跡のない福島県の建設会社が含まれているといいます。藤巻容疑者の指示によって国内で裏金を管理していたとみられる西松建設の子会社「松栄不動産」元社長の宇都宮敬容疑者も逮捕されました。

 ゼネコンの国内での裏金作りは、下請けや関連企業を使うケースが多いといいます。実際の費用より多い額で工事発注し、差額分をキックバックさせるのです。

 この方法で大手ゼネコンの裏金作りに加担させられたという下請け会社社長は、憤慨します。

 「本当は、やりたくないのだが、断ると仕事がもらえないので引き受けるしかない。以前だと利益幅が大きい工事でしかキックバックさせられなかったが、最近では利益が少なくても金をとられる。下請け業者にしわよせばかりで経営が苦しい」

 こうして違法に作られた裏金は、国内外での工事受注のための工作資金などに使われているのです。西松建設も海外では、タイの工事発注をめぐり高官に多額のわいろを渡した疑いがもたれています。同社関連の二つの政治団体から多くの政治家などに五億円近い献金があることも明らかになっています。

 前出の元中堅ゼネコン幹部はこう指摘します。

 「海外だけでなく国内でもゼネコンにたかる政治家や官僚はたくさんいる。建設業界がコンプライアンス(法令順守)体質に改めるのはもちろんだが、誰が恩恵を受けているのかも明らかにされないと、悪循環は絶てない」