今月23日にニュースリリースが出された電通の「日本国内のデジタル広告サービスにおける不適切業務の発生」は、日本以外でも大きな話題になっています。すでに虚偽報告の案件数や金額は日本メディアでも取り上げられているので、今回は「海外で電通はどう見られているのか」をいくつかの大手メディアの記事から探ってみます。


画像:DENTSU INC.

今回の電通による不祥事は、海外ニュースでは21日に次々と取り上げられました。ファイナンシャル・タイムズでは、東京で働く広告関連シニアエグゼクティブ達による「今回発覚した過大請求の金額自体は比較的小さいものの、電通による不祥事は、日本の”堅く管理された”広告市場を揺るがす可能性がある」というコメントを取り上げ、国内のメディア企業や電通のサービスに不満を持つクライアントが公に電通を批判できないほど、日本国内における電通の影響力が強いことを伝えています。

また、ウォール・ストリート・ジャーナルでは、電通が日本の広告およびメディアビジネスを牛耳っていることを示した上で「アメリカでの電通の事業とは違い、日本の電通の関心はメディアブランドとそのメディアブランドから広告スペースを買う代理店の両方にあります」と伝えています。

AdNewsに情報を匿名で提供した関係者の申し立てでは、今回の不祥事はDAサーチ&リンク(DASL)の日本でのオペレーションのみ(電通イージス・ネットワークは無関係)において違法行為が見られ、日本のTOYOTAに対して「少なくても5年以上」にわたって過大請求が行われていたと言われています。

また、日本の商習慣として「信頼」と「長期的な関係」が土台にあり、電通がTOYOTAのような重要なクライアントに対して過大請求をすることは大きな驚きである一方、実際にこのような不祥事を電通およびTOYOTAのような規模のクライアントが発見するのは困難であること、信頼のレベルが高いがゆえに不祥事をしても捕まらない確率も高いこと、個人を何かで訴えることを好まない文化であること、そして今回のような「過大請求」は(電通のような)強力な代理店を相手に日本でビジネスをする場合には「ビジネスの一部」にさえなり得ることを伝えています。

世界で3番目に大きな日本の広告市場のシェアを25%(約1.54兆円)押さえている電通と、日本で電通の次に大きな博報堂(シェア10%)との差は歴然としています。日本において7,000名の社員を抱え、大手新聞社およびTVネットワークの株を保有し、メディア買い付け、プランニング、クリエイティブエージェンシーなど数え切れない子会社を抱える同社は、2020年の東京オリンピック/パラリンピックにおいてもマーケティング活動を独占しており、日本国内においてもその大きすぎる影響力への懸念があることをAdNewsは詳細に伝えています。

今回の不祥事をきっかけにクライアントが離れ、電通の圧倒的な力が弱まり始めるのか。それとも今まで通り、電通による事実上の支配は揺るがないのか。海外からも大きな注目が集まっていると言えそうです。