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第1部 ≪人事行政の動き≫

第2章 国民の信頼の回復を目指して

はじめに


ここ数年、幹部公務員を中心に不祥事が続発し、かつてないほどの厳しい社会的批判を招いた。公務員が、国民の期待に応え、その役割を果たしていくためには、行政や公務員に対する国民の信頼が確保されていることが前提となるが、国民の公務員に対する信頼度は極めて低くなっている。公務員の人事行政を預かる人事院として、このような事態にたち至ったことは極めて遺憾であり、自戒と反省の念を込めて問題点を摘出するとともに、これらを克服して信頼回復へ向けて最大限の努力を尽くしていきたい。

一方、このような状況の中でも、不祥事とは無縁の大多数の公務員が、引き続き公正かつ効率的な行政サービスを提供するよう職務に精励しており、これらの職員の努力にも国民各位の十分な理解を求めたい。

公務員の不祥事は、一義的には、職員個人の心構えの問題である。しかしながら、近年のような幹部公務員の不祥事の続発は、単に不祥事を起こした職員個人の問題にのみその原因を帰すことは適当でないことを示している。

現行の公務員人事管理システムは、戦後50年以上にわたり、有為な人材の確保、育成等を通じて、日本の経済発展や社会生活の向上に貢献してきた。しかし、21世紀を目前に、我が国の社会経済システムが激変する中で、このように不祥事が続発したのは、バブル期において倫理観が著しく弛緩したことにとどまらず、公務員の意識、さらには現在の公務員制度とその運用が必ずしも時代の変化に十分に適応しきれなくなったことを示唆している。

本章では、公務員制度を所掌する人事院として、現在の公務員人事管理システムの中にも不祥事を生じさせた要因が潜在しているのではないかという問題認識の下、近年の公務員不祥事の事実関係を整理し、その原因分析を行った。その上で、公務員の人事管理システム全般を再点検し、公務員に対する国民の信頼の回復に向け幅広く再発防止のための施策を提起したい。その中で、公務員が高い倫理観の下、誇りや使命感を持って生き生きと働いていくことができるよう、これからの公務員の役割やあるべき姿を示すことにも心掛けた。

不祥事に対する人事院の現時点での基本的考え方は以下のとおりであるが、その対策については必ずしも十分なものとは考えていない。各方面でより一層深い議論が行われ、その防止策等の検討が進められるとともに、公務員制度全般についての議論が行われることを期待したい。この報告がその契機となることを希望している。

なお、ここでは、贈収賄により刑事事件として立件されたものや国公法に基づく懲戒処分に至ったものに限定せず、広く国民から批判を招いた公務員に関する事件を分析の対象とした。


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