• 2016年12月29日 木曜日
  • 安倍 俊廣

 電通デジタルの発足に沸き、電通の不祥事で暮れた1年――。

 2016年に本誌「読者限定サイト」では、どのような記事が読まれたのか。この1年に公開した本誌記事のPV(ページビュー)によるランキングを作成したところ、「電通」が2016年を象徴する“2文字”であることが、改めて明らかになった。

 年間トップのPVを稼いだのは2016年4月20日に公開した電通大山俊哉執行役員(当時)のインタビューである。電通はその後、同年7月に電通デジタルを発足させ、大山氏はCEO(最高経営責任者)に就任する。本誌はそれに先立ち、大山氏ら関係者に広く取材。5月号(4月25日発行)で「デジタルへ 電通が動く」というタイトルで特集している。大山氏のインタビューは同特集の関連記事だ。

 続く2位になったのは「電通の不正行為で信用失墜の恐れ、業界に怒りの声が広がる」という9月23日付の記事である。同社グループが提供する運用型広告の支援サービスで故意または人為的なミスなど不適切な業務があり、広告主に過剰な請求が行われていた。それを発表した記者会見を受けて、即日アップしたものだ。

 そして9月28日には第二報「電通の不正問題を招いた3つのワケ、旧来型の代理店に潜む根深い問題」を打ち、11月号(10月25日発行)では特集を組んだ。しかし電通が会見時に「(2016年の)年末までに」としていた不正全体の調査結果の報告は、「2017年1月下旬以降」(同社)へと延期された。さらに3位に入ったDeNAの健康情報サイト「WELQ」に端を発した問題もいまだくすぶったままだ。こうした問題“解決”の方向性が見つからないまま越年するのは残念だが、後者については2017年2月号(2017年1月25日発行)で特集する予定。ご期待いただきたい。

AIやARなどがマーケティング課題に

 さて、ここで不祥事系以外の記事に目を向けると、4位に「ソーシャル活用売上ランキング」が、6位にオイシックスCOO(最高オムニチャネル責任者)奥谷孝司氏の連載がランクインしたことが目につく。前者は本誌恒例の大型調査企画であるが、2016年にはLINEで商品の注文を完結させたり、オウンドメディアと位置付けたりするなど、新たな取り組みが広がったことがPVを伸ばすことにつながった。一方、奥谷氏の連載が好位置となったのは、ネットとリアルとを融合して顧客と強いつながり・きずなをつくることを意味する「エンゲージメントコマース」という奥谷氏発のキーワードに一定の関心が集まったことを示していよう。

 このランキングには現れなかったが、AI(人工知能)やAR(拡張現実)、さらにクルマの自動運転など。マーケティング応用はまだ先というイメージだった技術なども、既に現実的な取り組み課題になりつつある。

 2017年にはどんな新しいテクノロジーやトレンドが生まれ、読者の関心を呼ぶのだろうか。