自分が築いてきた地位を失い、ともすれば失職の憂き目に遭い、組織の信頼すらも失いかねない畏怖よりも、欲求が勝ってしまうのだろう。ばかかと思ってしまうほどに本能には従順で、理性といったものに乏しい倫理観の欠如が彼らを犯罪行為に走らせる。

 ストレスの溜まるお仕事だろうとは思う、警察官というのは。

 規律は厳しいし、上下関係は絶対だし、捜査の過程でのミスは許されない。ストレスが溜まるのも無理はないとも思うが、でも、そのストレスを、あらぬ方向で発散させちゃいけないよね。

 少し前に警察官に聞いた話だが、不祥事が起きるたびに、本庁から各警察署に通達があるそうだ。ほんの数年前まではファックスだったらしいが、いまはメールによる一斉送信になっているだろう。

「そこに書いてあるんだよ。どこそこのバカ野郎がこんなことをしでかしたから、お前らも気をつけろって。いいか、お前らはやるんじゃねえぞって書かれたファックスを受信するわけ。それが毎週。でも、またやるバカがいるんだよ」

 こんなことを言って憤っていた。

 全ての警察官が不祥事を起こすわけではないが、一点のシミは、どんなに崇高な組織であっても、その全体像を穢す。そして、世の中というのは、たったひとつの不祥事、たったひとりの犯罪を、組織全体の不祥事に受け止めてしまうのだ。

 同じ組織にありながら、あっちで不祥事、こっちで不祥事を繰り返していたら、とてもじゃないが、私は警察機構といったものを信用できなくなる。そのむかし、安部譲二さんがお書きになった『塀の中の懲りない面々』という大ベストセラーがあって、この作品になぞらえれば、神奈川県警にも懲りない面々がたくさんいるということだ。

 前の年に同じ署でわいせつ行為を働いた警察官がいたら、何故、次の年に同じ警察官が同じわいせつ行為を働くのだ。世の中の批判や署長の訓示は馬耳東風なのか。

スペシャル・インフォメーションPR