企業の不祥事はなぜ起こる?不正のトライアングルで考える

2014年12月4日

内部統制の重要な目的のひとつは不正の防止。会計士には、企業内で行われる横領や会計上の不正を防止する仕組み作りに資する役割が期待されています。その観点からよく引用されるのが、不正が発生する原因を示すモデルとして有名な「不正のトライアングル」です。


不正のトライアングルとは?

米国の犯罪心理学者、クレッシーは業務上横領の発生要因を分析した論文「Other People’s Money : A Study in the Social Psychology of Embezzlement(1953)」の中で、横領の発生条件として、次の3つを挙げています。

1.本人が他人と共有できない金銭的な問題を抱えていること
2.本人が信頼されている立場を利用すれば秘密裏に問題を解決できると認識すること
3.横領をしても問題ないと自らの行動を正当化すること

この3つが揃った時に、不正が発生する危険は極めて高くなります。「不正のトライアングル」は上記の3要素を「動機・プレッシャー」「機会の認識」「正当化」と整理し、三角形にモデル化したもの。トライアングルの3つの要素をいかに潰すか、という観点でリスクを管理する理論として定着していきました。

会計不正事件が理論を深化させた

クレッシーの理論の優れた普遍性は、2002年、エンロン事件の発生を受けて米国公認会計士協会 (AICPA)の監査基準書に取り上げられることで、財務報告、内部統制の観点から再びスポットが当たることとなりました。

また、同理論は、2011年に改定されたCOSOフレームワークにも応用されています。内部統制のフレームワークは、数々の財務報告上の不正事件で経済社会に深いダメージを受けた経験から、不断に見直されてきた歴史があるのです。

会計は学際的な知見で補完される

「内部統制」という言葉は、J-SOXの影響もあり、会計士だけではなく経営者にもすっかり定着しました。しかし、企業の内部統制の仕組みを作る際、米国から「輸入」されたフレームワークを当てはめるだけでは不十分であるとの議論がしばしばなされます。

会計は、経営学はもちろん、心理学、社会学にまで広がりを持った学際的な分野。会計業務を突き詰めると人間心理を含めた様々な知に行き着くことになります。心理的メカニズムを理解することにより、内部統制の仕組みづくりは「実」を伴うものになります。

最近では、不正防止に特化したコンサルを行う会計士も登場しています。会計士の知的研鑽には終わりがないだけに、業務の広がりにも大きな可能性があります。会計監査人として、内部監査人として、コンサルタントとして、会計士は不正防止のフレームワークを機能させる最重要のプレーヤーであることに、改めて気づかされます。

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