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<5>相次いだ公務員不祥事

◆悩み相談できる態勢を

  • 職員の不祥事続発を受け、福山市議会9月定例会の冒頭で頭を下げる市幹部ら(9月、福山市議会で)

 麻薬密輸、飲酒運転、盗撮、窃盗――。今年、備後地方で、公務員が関わる不祥事が相次いだ。

 主なものだけでも、▽5月、府中市立小学校の教諭が米国から麻薬を輸入したとして麻薬取締法違反で逮捕される▽同月、尾道市水道局の職員が無免許運転で逮捕される▽8月には同市内の県立高校職員が教職員公舎の水道料金使い込みを隠すため振替済通知書を偽造したとして有印公文書偽造・同行使などの容疑で逮捕される――などがあった。(いずれも肩書は当時)

 「どのようにおわびすればいいか言葉が見つからない」。9月10日、福山地区消防組合の消防士が盗撮容疑で逮捕されたことを受け、同組合管理者の羽田皓・福山市長は市議会9月定例会の冒頭、市幹部とともに深々と頭を下げた。

 羽田市長は、この前日にも、建設管理部の課長が8月末に酒気帯び運転で摘発されたことを受けて、市議会で陳謝したばかり。2日連続で謝罪する異例の事態となった。

 同市でこの1年に、窃盗や酒気帯びなどで逮捕・摘発された、職員や教諭、消防士は7人にのぼる。一連の不祥事を受け、市は警察官を招いた特別研修や、全職員への個人面談を実施。服務規律の徹底を再度図った。

 市が特に力を入れるのが、幹部職員を含む2人の処分者を出した飲酒運転の根絶だ。9月以降、職員に対し飲酒習慣を面談調査し、アルコール依存傾向のあった職員は医務室と連携して改善に向け指導する。飲酒運転が判明した職員は、名前と所属を原則、公表すると決めた。27日の仕事納め式でも、羽田市長は「酒に関わる不祥事は即、懲戒免職」と厳しい姿勢で臨む考えを示した。

 しかし、厳罰化だけで不祥事を一掃するのは困難だ。勤務先の小学校から学級費などをくり返し盗んだとして、窃盗罪などに問われた元臨時教諭は、公判で「パチンコでできた借金があったが、誰にも相談できず、学校の金に手をつけてしまった」と打ち明けた。職員が公私で抱えている悩みを相談できる態勢を作り、問題解決に向けて継続的に支える必要があるだろう。

 「綱紀粛正を誓う」「信頼回復に全力を挙げる」。今年1年繰り返されたこの言葉が、空約束とならないように願いたい。もう、市民への背信行為は許されない。 (東直哉)

(おわり)

2013年12月28日 22時31分Copyright © The Yomiuri Shimbun