近時,食品の偽装表示事件や自動車のリコール隠し事件など,事業者内部の従業者等からの通報を契機として企業不祥事が明らかになる事例が相次いでいます。主なところを挙げると次のような状況です。

  • 三菱自動車㈱リコール隠蔽事件(2000.8)~30年に渡りリコールの事実を隠蔽し続けた。運輸省(当時)への匿名電話により発覚。

  • 雪印食品㈱牛肉原産地偽装表示事件(2002.1)~豪州産牛肉13.8トンを国産と偽って業界団体に買い取らせた。倉庫業者の告発により発覚。

  • 日本ハム子会社の日本フード㈱詐欺事件(2002.9)~BSE(牛海綿状脳症,いわゆる狂牛病)対策の国産牛肉買い上げ事業に虚偽申請し,代金の一部を詐取した。近畿農政局に対する内部者からの電子メールにより発覚。

  • 東京電力㈱試験データ不正操作事件(2002.10)~福島第1原発1号機で原子炉格納容器の気密試験データが不正に操作されていた。通産省(当時)への内部告発により発覚。

  • ㈱不二家賞味期限改ざん事件(2007.1)~同社のプリン,シュークリームに消費期限切れの牛乳を使用して社内規定より1~2日後の日を消費期限と表示して販売した。社内調査で判明していたが,隠蔽が指示された。マスコミへの内部告発により発覚。

  • 石屋製菓㈱賞味期限改ざん事件(2007.8)~同社のヒット商品「白い恋人」の賞味期限を改ざんして本来の期限後も販売を継続していた。保健所への従業員を名乗る者からの電話により発覚。

  • ㈱赤福賞味期限改ざん事件(2007.10)~「赤福餅」の出荷戻り分を冷凍の上,包装し直して再出荷していた。保健所への内部告発により発覚。

  • ㈱船場吉兆食品表示偽装事件(2007.10)~賞味期限切れ菓子の販売の他,牛肉,鶏肉等の原産地,原材料を偽装表示して加工,販売していた。菓子販売に関する保健所への告発により発覚。

 数々の企業不祥事には,不祥事を顧みない徹底的な利益追求の姿勢が顕著に観られるところです。高度経済成長時代においては,公害を引き起こしても利益を上げようとする営利優先主義が企業側にあり,生涯雇用制度の下での企業防衛の意識も高く,公益・企業の社会的責任は軽視されていました。消費者側の権利意識は低く,保護制度も不十分な状況のため,消費者は泣き寝入りを強いられることも多く,不祥事を起こした企業への社会的批判も弱かったといえるでしょう。不祥事の社内隠蔽は容易であり,それが発覚したときの損失もそれほど大きくはないため,リスクコントロール上も不祥事は隠蔽した方が得という時代だったといえます。
(続く)