東洋ゴムの免震偽装は信用の根幹に関わる重大問題

 東洋ゴム工業の免震偽装は、これらの不祥事の中でも最も深刻な問題ではないかと思います。会社の信用の根幹を揺るがす問題だからです。株主に迷惑をかけるだけではなく、お客さまへの信用信頼を完全に失ってしまいました。「問題が発覚したから部品を交換します」ということで済む話ではありません。もちろん、社長が辞めたからと言って許されることでもありませんし、企業体質が変わるものでもありません。

 一部の報道によると、96年から免震の改ざんが行われており、2013年に幹部が問題を認識したものの、出荷停止までにさらに1年半を有したと言われています。対応が遅すぎる以前に、非常に悪質です。

 もし、今後、大きな地震が起こり、データの偽装が原因で倒壊する建物が出てきてしまったら大変な話です。ビルやマンションを利用している人は、免震を信じているわけですから。

 同社の報告過程にも大きな疑問が残ります。はじめは、現場の担当者一人がデータを改ざんしていたと発表していました。しかし、これだけ大掛かりなことが実際には一人でできるわけがありません。製品を作る人、検査する人、販売する人がいるわけですから、非常に高度な技術を要する製品について、一人がごまかし続けることなどできるはずがありません。

 結局、他の関連部門も関わっていたと発表されましたが、この報道の経緯も含め、一連の対応はいかがなものでしょうか。最初に言われた一人の担当者を、談合企業がよくやるように「トカゲのしっぽ切り」のようにしようとしたのでしょうか。

 この問題は、異動によって担当者が変わったことで発覚したと言われています。それまでの間、担当者は10年以上変わっていなかったということでしょうが、その間も不正が分かっていなかったというのも俄には信じがたい話です。

 以上の点を考えると、根本的な原因は企業体質だったのではないかと思います。東洋ゴムは、2007年にも断熱パネルの試験データの偽装がありました。当時の社長は、引責辞任をしています。以前から、企業全体の体質に問題があったのではないかと思います。このような企業のお客さまも大変ですが、まともに働いている従業員もたまったものではないでしょう。

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