警察不祥事増加 使命を問い直し改革を

 今年上半期に免職・停職の懲戒処分を受けた警察職員が2000年以降、過去最悪となった。免職・停職の数は前年同期比27人増の83人で、年間で最も多かった02年の138人を上回る勢いだ。

 懸念は懲戒処分者数の増加だけではなく、その質の悪化だ。強制わいせつ、窃盗、詐欺など警察官が逮捕された事例もある。
 最近でも少女に酒を飲ませ乱暴したとして大阪府警巡査長が逮捕された。異常な事態だ。警察組織はもとより、警察官個人も深刻に受け止め、国民の信頼回復に向け改革への取り組みを急ぐべきだ。
 個々の警察官に問いたいのは、「国民の警察官」という強い職業意識があるかどうかだ。どんな職業も社会的役割と責任を伴うが、こと警察官には強い使命感が求められる。職務を忠実に遂行するかどうかは、国民の生命と財産、安全と安心に直結するからだ。
 長崎県西海市の2女性殺害事件をめぐる不適切対応などは、その意識に欠け、結果的に市民の命を守ることができなかった。強い職業意識なくしては治安は維持できないことを肝に銘ずるべきだ。
 警察不祥事が大きな社会問題になったのは1999年から2000年にかけて、神奈川県警の覚せい剤使用握りつぶし事件、新潟県警の女性監禁事件に絡む虚偽発表がきっかけだった。それを受けて警察庁は情報公開の推進、警察署協議会の創設など警察改革に乗り出した。その結果、懲戒処分者数は02年の568人をピークに減少していたが、10年に385人と急増し、高止まりの状態だ。
 残念ながら当時の改革の精神や危機感が薄れてきたと言わざるを得ない。今年上半期の懲戒処分者のうち50代が最多という状況では、若い世代への指導も心もとない。
 不祥事急増を受け警察庁は、全国に対策を指示した。被害届や告訴を即時受理、不祥事の概要や再発防止策を全国で共有する制度の導入、住民らが参加する警察署協議会で不祥事の概要を説明し、意見を聞いて対策に生かすことなどだ。
 改革を進める上で不祥事は隠さないという姿勢が不可欠だ。警察組織は捜査・警備上の理由から閉鎖的な体質が根強い。しかし、情報公開の徹底が組織を健全かつ強固にする。第三者の意見も積極的に取り入れ、改革を徹底してこそ国民の信頼回復につながる。