オリンパス事件、監査法人の責任を検証する

 前回から始まった本連載では、オリンパス事件を反面教師として、そこで見えてきた企業統治のアキレス腱について明らかにしている。自社を強くしていくヒントとして読んでいただけると本望だ。

 初回の前回は「チェック役を期待される社外取締役が、なぜ不正を見抜けなかったか」構造的な問題を明らかにした。

 今回は、そもそも会計上の不正を見抜くべき監査法人が、どうして警鐘を鳴らせなかったのか、事実を追ってみよう。

 オリンパスの巨額損失隠し事件では、独立した外部監査人として同社の決算書をチェックしてきた監査法人の責任が、「ひとつの焦点」になる。

 外部監査は、受託した監査法人の公認会計士が数カ月間にわたり、社内の書類だけでなく、資産の状況を実際に出向いてチェックするなど徹底的に調べ、監査法人の幹部社員が個人名でサインする。万が一、決算書が適正だというサインを得られなかったら上場廃止になってしまうほど、上場企業にとっては不可欠の「お墨付き」である。監査法人には年間で数千万~数億円という巨額の監査報酬が企業から支払われている。

 オリンパスの会計上の不正操作を見抜けなかったわけで、プロとして決算書の正しさを保証してきた会計士や監査法人の責任は免れない。

 とりわけ問題なのは、会計士や監査法人が巨額の損失「飛ばし」をどの程度知っていたのか、である。この点に関しては、証券取引等監視委員会や金融庁、日本公認会計士協会がそれぞれ調査に乗り出しているが、今のところ実態は藪の中だ。

 あずさ監査法人の元幹部は「会社が会計士を騙そうとしたら、それを見抜くのは無理。担当会計士は飛ばしを知らなかったと思う」と語る。だがオリンパス事件に関しては、会計士なら当然気が付いたであろうタイミングが「何回かあった」事だけは間違いない。

 まず最初は、バブルの崩壊による日本企業の財テク失敗が相次いで表面化した、1990年代半ばである。