歴史に学ぶ――なぜ不祥事は起こるのか

植村修一氏

 世の中で「不祥事」が止まりません。談合やカルテル、データの捏造や改ざん、毒物混入、偽装表示、反社会的勢力、情報漏洩、爆発や衝突事故、汚染水漏れ、横領、ゴーストライター、不適切なヤジや政務活動費......。国際的な大企業から公的機関に至るまで、社会のあらゆるところで発生します。そのたびに起こる「またか」の思い。バブル崩壊後、散々言われ続けてきた、コンプラアンス、コーポレートガバナンス、リスク管理とは一体何だったのでしょうか。どうして組織も人も、過去の事例、周囲の事例に学ばないのでしょうか。

 不祥事が組織や個人にとって思わぬ損失をもたらすものである以上、これへの対応は、リスク管理そのものです。実際、これだけ起こる不祥事を全体として見れば、一定の確率で必ず発生する事象と捉えることができます。

 本連載は、具体的な事例をもとに不祥事とは何か、なぜ繰り返し起こるのかをわかりやすく解説することで、多くの組織が健全に運営されることを目指すものです。その意味で、「他山の石」や「殷鑑遠からず」を生かすための連載です。

 なお、連載で扱ったものについては、事件・事故にせよ、内容はあくまでその時点でのものであり、その後、対応策を講じたり、体質改善に努めている例がほとんどです。現時点で当該組織が同じ問題を抱えているわけではない点を、あらかじめ強調しておきます。

「正論は正しい。だけど正論を武器にするのは正しくない」

 これは、人気作家有川浩さん原作の映画『図書館戦争』で、V6の岡田准一(NHK大河ドラマ黒田官兵衛役)演じる図書館特殊部隊班長が、部下の一人を説得する際に使う言葉です。では、彼が言うように、正論を武器にすることは正しくないのでしょうか。私にはこの点が不祥事の根幹を考える際の決め手になるような気がします。本連載を読んだあとで、皆さんがどちらの立場を支持されるか、興味深いものがあります。