第64回
「不二家の不祥事」を繰り返す日本人の体質

経営コンサルタント 大前 研一氏
2007年2月7日

 菓子メーカーの不二家が、消費期限切れの材料を使って食品を作っていたことが明るみに出て、社会問題と化している。チェーン店は営業を停止し、スーパーやコンビニエンスストアの店頭から不二家の商品が撤去された。不二家では「社内体質に問題があった」として、2~3カ月後に藤井社長が辞任することを発表した。当然といえば当然の措置であろう。

 不二家の支援をする会社として森永や山崎製パンの名前が挙がり、どうやら山崎製パンが業務提携、というところに落ち着きそうだ。しかし首尾よく支援を取り付けたところで、今回のスキャンダルは容易には収束しないだろう。事件発覚後も、次々と不祥事が明らかになっているからだ。実はこの事件、わたしが開いている経営塾で「企業不祥事」についてディスカッションしているまさにその週に起こったのである。別に喜んでいるわけではないが、実にタイムリーではあった。

 ここで指摘しておきたいのは、不二家は創業以来連綿として同族経営が続けられてきたという事実である。わたしはファミリー経営が悪いとは言わない。しかしファミリー経営は往々にして、経営上の意思決定を論理ではなく感情や面子で行なう傾向がある。人事権を通じた支配力がその背景にある。同社の事後処理の甘さを見るにつけ、そのことが今回の事件の背景に横たわっているように思える。

 常識的に考えれば今回の事件は会社解体に至った雪印のケースと酷似している。会社解体といっても、初めから資本を入れていた森永がお菓子を、そして山崎製パンがケーキなどの事業を引き受け、不動産などを処理すれば、従業員にとってはより強固な経営体に移籍できるわけで悪い話ではない。

 株主にとってもこのまま体質が変わることなく経営を続けられるより余程魅力があるはずである。すなわち売却・精算した結果のキャッシュを受け取るか、等価換算した森永と山崎製パンの株を受け取る、ということである。

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