横浜市の大型マンション傾斜問題に揺れる旭化成。子会社の旭化成建材がくい打ち工事を担当したが、データ改ざんが発覚した。北海道などでもデータ流用が次々明るみになり、東芝、独フォルクスワーゲン(VW)に次ぐ一大不祥事に発展している。旭化成の浅野敏夫社長はヘルスケア部門出身で昨年4月に社長に就任したばかり。旭化成のガバナンスのある歪みを是正する大きなミッションを帯びていたのだが……。

へーベルハウスは水害にも耐えたが……

 「へーベルハウスの顧客も不安では」

 10月20日、浅野社長ら経営陣は都内で記者会見し、謝罪した。涙ぐむ一幕もあったが、浅野社長にとって最も痛かったのはこの質問だろう。今回のマンションのくい打ちとは直接関係しないが、旭化成の戸建て注文住宅「へーベルハウス」への今後の影響は深刻だ。

 2016年3月期の連結売上高は2兆円、営業利益は1640億円を見込んでいたが、うち営業利益の4割を稼ぐのがヘーベルハウスを核とした住宅事業だ。「ヘーベルハウスは住宅業界の最高級ブランド、坪単価が高く、余り値引きしない」(業界関係者)ことで知られる。耐久性・耐火性が高く、安全・安心を売り物に高所得者層中心に強い支持を受けてきた。日本列島で地震や水害が頻発するなか、販売を伸ばしていた。

 9月に起こった鬼怒川の水害。河川の決壊で茨城県常総市では次々家屋が濁流に流されたが、持ちこたえた白い家が度々テレビカメラに映し出された。「この家がへーベルハウスではないか」と話題になった。

 このへーベルハウスを事業化したのは旭化成の中興の祖と呼ばれる宮崎輝氏だ。1961年に社長に就任し、会長になり、92年に急逝するまで実に30年にわたって旭化成の顔だった「超ワンマン経営者」でもある。合繊から石油化学、住宅、医薬・医療、エレクトロニクスなど多角化を推し進め、「ダボハゼ経営」とも呼ばれた。