利益のかさ上げ総額1700億~2000億円と言われる、東芝の不適切会計問題。その原因は、コーポレートガバナンスの問題や無理な業績目標があったからだという意見が多数を占めているように思います。しかし、私は、根本的な問題は「経営者の倫理観の欠如」にあると考えています。そして、そうであれば、また、同じような問題が発生すると考えます。このような問題にどう対応していけばいいのでしょうか。
 今回は、東芝の不正会計問題に関連して、その問題の本質について、私の意見を述べたいと思います。

問題のきっかけはリーマン・ショックだった

 はじめに、東芝固有の問題として、なぜこのような問題が起こったのか、そのきっかけを振り返りたいと思います。

 一つは、リーマン・ショックで大きく業績を落としてしまったことです。リーマン・ショック直後の東芝の2009年3月期の最終損益で、3435億円という巨額の赤字を計上しました。当時、東芝は突然の危機に見舞われたのです。

 これとともに、もう一つの重大問題が重なりました。同社は原発事業を推進して収益の柱としていこうと考え、有力な原発関連企業である米ウエスチングハウス社を買収していましたが、2011年3月に起こった福島第一原発事故によって、その計画も見通しが立たなくなってしまったのです。とくに、日本国内での原発ビジネスは、想定していた改修や新規開発の見通しはなかなか難しくなってしまいました。