中小企業の管理職をしている「まおまお」です。
趣味は「釣り」と「美術展巡り」「歌舞伎」、そして「食べること」かな?

現在、会社では通販事業を担当していますが、それ以外にもシステム管理者、法務、採用など中小企業にありがちな「なんでも屋」です。

当ブログは趣味と仕事関係を中心にしたカテゴリ以外にも、その時々に興味を持ったジャンルの書籍を読むようにしています。
そのため、時期によってジャンルの偏りが・・・・・・^^;

往復の通勤電車に揺られて読め、お小遣い範囲内で買えるということで新書をメインに独断と偏見で面白いかどうかを判断しています。
通勤時間の有効活用に一助になれば幸いです。
なお、現在、献本のお申し出はご遠慮させていただいておりますので、ご了承くださいませ。

E-mail:tsukin.book●gmail.com
●は@です。

■励みになるのでポチッと押していただけませんでしょうか?
 


Copyright ©2009-2017 「通勤時間の本は何にする?」 All Rights Reserved.
トップページ警察>【警察】警察四大不祥事から見る警察組織の問題
おはようございます。
「まおまお」で~す。
いつもブログを見ていただきありがとうございます。

今回の書籍の紹介はコレです。

古野 まほろ『残念な警察官―内部の視点で読み解く組織の失敗学』(光文社,2016)  760円(税別)



この書籍をサクッというと


元警察庁官僚の著者が一般市民の視点と元警察官の視点で、過去に警察が起こした不祥事を検証し、今後の警察組織運営への警鐘を鳴らしている1冊。


目次


まえがき
序 章  警察不祥事の読み方
第1章  桶川事件―警察署が機能不全に陥るとき
第2章  神奈川事件―本部長独裁の下で
第3章  新潟事件―社会と市民からの遊離
第4章  石橋事件―共感力と想像力の欠如
終 章  市民の視点、警察の視点


中立な立場で検証


警察関係の書籍は主に2つに分類される。
1つはアンチ警察、もう1つは親警察だ。
もっとも書籍の数からするとアンチ警察の方が多い。

内容も元警察官の内部告発、記者による不祥事への取材などがウケる。
それは一般市民として、1つの不祥事から警察への負のイメージを抱きながら、自分が接した警察官の対応が悪かったりすると、追記認識となり、一層、ネガティブなイメージへとなっていくためだろう。

警察組織に限ったことではないが、組織防衛と言うものがお役所関係には多い。
警察の場合、正義や市民生活の安全維持などのイメージがあるため、それに対するギャップがあると問題となるのだ。

今回紹介する書籍はアンチ警察、親警察の2つの立場と異なる中立な立場で、過去の警察の不祥事を検証している。
そのようなことができるのは、著者が元警察庁の警察官僚。
いわゆるキャリアとして警察組織に在籍していたからだ。

元警察官となると、極端にアンチになるか、警察擁護になるか、どちらかの傾向となる。
今回は検証で使い、事実として認定するために以下の基準を用いている。

1.断罪する側のモラル
 新聞や書籍、ネットにある情報から「真実」を導くことはしない。
2.第三者としての裁判所の信頼性
 社会における紛争があったとき、最終的に事実を認定できるのは裁判所。
3.役所の公的見解の価値
 役所の特性は、議会に積極的な虚偽は述べないという。
 下手な公的見解をすると、議会は厳しい追及をおこなうため、役所の議会答弁は
 積極的な嘘は少ない。
4.警察官に通用する公平性
 著者は、この書籍は警察改革以前を知らない若い警察官に読んで欲しいという。
 そのために、裁判所や警察組織も認めている「ガチな事実」を前提として
 建設的な批判をする。


警察不祥事の問題点


著者は警察組織における問題点を2つの型として定義している。
それが「腐ったミカン型」と「腐った果樹園型」というもの。

「腐ったミカン型」


「腐ったミカン型」とは個人に帰属する問題。
例えば、ある警察官が女性のスカートの中を盗撮したというのは個人の問題であり、組織の影響を受けたからではない。
農場で例えれば、あくまで1つのミカンが腐っただけのことであり、ミカンの果樹園(警察組織)全体が腐っている訳ではない。

「腐った果樹園型」


これに対して大きな問題となってくるのが「腐った果樹園型」という警察組織に問題があったため、ミカンも腐ってしまうということ。
例えばパワハラで部下3人を自殺させたことは、ミカンが腐っているのではなく、そんな管理職をそのまま放置してきた組織が腐っていたから。
こうなってくると組織はより深刻な問題をはらんでいるのだ。


警察改革以前に起こった警察不祥事


著者はこの「腐ったミカン型」と「腐った果樹園型」という2つの観点から警察の歴史上、最悪の4つの不祥事を検証している。
その不祥事とは桶川事件、神奈川事件、新潟事件、石橋事件。

桶川事件


桶川事件とは通称「桶川ストーカー殺人事件」としても有名な警察の不祥事。
被害者の女子大生のみならず、その父親の勤務先まで中傷のビラを貼るなどのことをおこなっていた加害者が最終的に被害者を殺害。
犯人グループは逮捕されたが主犯格は逃亡の末、自殺。
この事件の問題点は、警察が事件後、捜査への怠慢、虚偽公文書作成など様々な問題が発覚したこと。

この事件に関して、著者は裁判所の記録などを基に分析解説をしている。
結果、この事件は課のベテランでありながら仕事への意欲をなくしていた警部補、そんな警部補を指揮官とすることができない刑事二課長、そして検挙数字しか考えていない刑事次長など「腐った果樹園型」で不祥事が発生したと断言する。

神奈川事件


神奈川事件とは通称「神奈川県警覚醒剤使用警官隠蔽事件」としても有名な警察の不祥事。
以前より様々な不祥事を起こしていた神奈川県警。
そこに覚せい剤を使用していた神奈川警察本部外事課の警部補がいることが発覚。
これ以上の不祥事を起こす訳にはいかなった神奈川県警上層部は、事件の隠ぺいを図るため、不倫事件で諭旨免職として、現役警官ではなく「元警察官」が起こした不祥事とするように様々な隠ぺい工作をおこなった。

この事件の特徴は警察本部長という県警トップをはじめとした上層部に処分が下った。
つまり、完全に組織ぐるみで犯罪隠ぺいをおこなっていたということ。
まさに「腐った果樹園型」の不祥事だった。

新潟事件


新潟事件とは通称「新潟少女監禁事件」としても有名な警察の不祥事。
9年間もの間、誘拐・監禁されていた少女の救出後、警察が事実とは違う発表をおこなったこと。
そして、この事件のときに警察首脳部は事件のことを無視して官官接待(雪見酒、麻雀)をおこなっていた。
とくに官官接待では世間から大きな非難を浴びた。

この事件は1つの事件で2つの事柄が問題となっている。
まず事実とは違う発表をしたことについて、元警察官の著者はその理由について、一定の理解を示している。
しかし、隠ぺいとも取れるやりかたについては、当事者警察官の「腐ったミカン型」と判断している。

そしてもう1つの官官接待(雪見酒、麻雀)についても、組織の問題ではなく、上層部の「腐ったミカン型」であると判断している。
その理由として、事件が起こった場合の上層部の一般的な行動から完全に逸脱した行為であり、それは個人の責任によるものであるとの判断からだ。

石橋事件


石橋事件とは通称「栃木リンチ殺人事件」としても有名な警察の不祥事。
栃木県警警部補を父に持つ主犯格を中心とした犯人グループは被害者を連れまわし、リンチを加えるなどの暴行を働く。
被害者の親は再三に渡り、警察に捜索を願うが、警察は捜索をしない。
やっと犯人グループから親宛てに電話がかかってきたので警察に替わるとその警察官が「石橋署の警察官だ」と名乗ってしまい、結果、被害者は殺害された。

この事件を著者は「腐ったミカン型」か、「腐った果樹園型」の判断に迷っている。
結果、著者は以下のような見解としている。
『ベースは腐ったミカン型だが、それを必ず産出してしまうような病気を持っていたという意味で、果樹園全体が腐りかけていた。当時のほとんどの警察官は残念な警察官であり(私もです)、等しく腐るリスクがあった』という暫定的な考え方を、お示ししたいと思います。(P.224)

確かに「腐ったミカン型」の警察官が起こしたものであるが、その温床となっていた当時の警察組織の雰囲気にも問題があったということなのだ。


まとめ


当書籍から分かったことは以下のようなこと。
 1.同じような時期に発生した4つの不祥事から時間が経ち、警察組織の中でも
  風化が起こっている。
 2.現在でも警察官の不祥事はコンスタントに発生している。
 3.警察を一方的に断罪するのは、警察官のモチベーションを下げ、最終的に
  それは市民生活の安定に悪影響を与える。


中立な立場での検証の当書籍で知ったことは、意外に警察の処分が軽いこと。
懲戒免職以外は減給などが多く、被害者からすると報われないようなものが多い。
本当に警察組織が日常より市民から信頼を得られるためには、情報の開示や説明責任をもっと果たすことが必要である。
また、冤罪事件もなくならないことから、自白を強制する取り調べも改革していかないと従来のままのような気がした1冊。


ランキング評価
読みやすさ  3
情報量    3
情報質    4
価格     3
と言うことで「★★★」です。


次回も見に来てくれると嬉しいです。


励みになるのでポチッと押していただけませんでしょうか?





トラックバック