変化する体育会系部活動の実情

はじめに

就活で体育会系学生が好まれる事実とその理由については、過去の記事でも言及してまいりました。

しかし、体育会系出身だというだけで内定が貰いやすいのでしょうか。

勝つため、活躍するためではなく、就活でアピールするためだけに所属している学生の存在は、他の部員とのモチベーションの違いから時には部の統制に支障をきたす場合もあるようです。

指導者や幹部の学生たちは、そのような学生の扱いに困惑しているという現状があります。

体育会といえば、厳しい上下関係のある組織というイメージがあります。

モチベーションの低い部員は強制退部にすればよいのでは?という単純な疑問が生じますが、なぜそれが難しいのか。それは、体育会の部活動という組織が持つ特性に起因しているようです。

部活動の運営体系から生じる特性

部活動というものは、当たり前ですが部員だけで成り立っているわけではありません。その運営は次のような特徴を持っています。

大学との関係

大学が正式に“部活動”として認めている団体は大学側との関わりが大変密接です。

まず、活動資金(“部費”と呼ばれるもの)および活動場所を大学から提供されています。所属する部員数が多いほど部費が貰いやすくなり、広い場所を与えられる可能性が高くなります。

従って、“部員を増やす”ということは単に大会や試合で良い成績を収めるだけではなく、部の運営に余裕を持たせる働きも兼ねていると言えます。

このように、部活動は大学が全面的に運営に関わっている組織であるため、その分ある種の責任が生じてきます。それは、チームや部員一人ひとりが大学の顔であるということです。

最も分かりやすい例として、部員の不祥事が挙げられます。

部員の一人が部とは全く関係のないコミュニティや個人において何か法に触れる不祥事を起こすと、メディアで大々的に取り上げられ大学のイメージに影響します。(『○○大学●●部の学生が』という報道のされ方を時々目にすると思います)

以下のようなニュースを一度は見かけたことでしょう。

基本的に、部員たちは氏名、学籍番号、住所、携帯電話番号等を大学側に登録することを義務付けられている場合が多いため、悪いことをすればすぐに『●●部の学生だ』とばれてしまい、その個人だけでなく部全体にも然るべき処分が下される可能性があります。

OBとの関係

部活動といえば、OB(Old Boy: 卒業生、先輩)の権力が大変強いのも特徴でしょう。

ある程度歴史があり体制が整っている部では、部員が大学を卒業すると自動的にOB会に入会する場合が多いです。

共に汗を流した卒業生たちで構成されるOB会は、大学側だけではサポートしきれない部分を、金銭的にも技術的な面でも援助する組織であると言えます。

体育会系部活動においては縦社会が浸透しており、現役部員に対する強い発言権を持ち部の秩序を保つという役割も持ち合わせています。

部員の個人情報を大学に登録するのと同様に、部の指導者もまたどのような人物なのかを申請し、大学から正式に許可を得る必要があります。

特に体育会系部活動では、練習や試合中の怪我のリスクが不可避であるため、学生の身の安全を確保しつつ指導にあたることができるという信頼のおける人物でなければなりません。

OBが監督やコーチになっている部も多くみられますが、大学側も卒業生ということで信頼を置いているために承認されやすいという側面もあるようです。

苦労して部としての認可を得て、練習場所を確保するなど学内での地位を自分たちが築いてきたという思いが強く、ついつい口うるさくなるのも部の為を思うからこそでしょう。

しかし、OBは部の先輩である前に一社会人という立場があります。

就活の為に部活に入ってくるような部員にたいして、心の中では「辞めてしまえ!」と思っているかもしれませんが、部員と面倒事を起こしてパワー・ハラスメント(パワハラ)等と訴えられたりするのは避けたいところです。

部員同士の関係

厳しい練習を一緒に乗り越えれば、部員同士の絆も強くなります。

実際、肉体を極限まで追い込むような練習メニューをこなすには相当な精神力が必要であり、それは部員同士の支え合いでより強く持てるでしょう。

そこから生まれる仲間意識は強固であり、指導者や先輩に辞めさせられそうな部員を「あいつもいいところあるんです、あいつが抜ければ穴ができてしまいます」等とかばうこともあります。

保護者との関係

ごく稀ですが、大学が運営に関わっているために保護者が大学側にクレームをつけやすいのも特徴です。

これは体育会系部活動に特有なのですが、練習・試合中の事故による怪我や後遺症、最悪の場合は死亡というリスクがあります。

万が一、練習中に何かあった時、その責任を問われるのは大学や指導者です。

そのため、最近の指導者は大変気を使っているようです。「うちの子に何かあったらどうするんだ!」「息子が怪我をさせられた!」と言われてしまうと、責任者は何も言えなくなるでしょう。

また、度を超えた過酷すぎる練習をしている危険な部であると保護者や大学側からみなされれば、活動停止あるいは廃部の危機となります。

以上で述べたように、体育会系の部活動の運営は意外と世間体を気にしつつ神経質になされている場合が多いです。

そのため、活動に参加しない/貢献していないから辞めさせる、という短絡的な処置は難しいと言えます。

「就活の為に体育会」学生は見て見ぬふり、放置されがち

就職活動に有利だといわれる体育会系学生ですが、体育会という組織に所属することで得られる気質や能力には個人差があるのも事実です。

どんな組織であっても、真剣に取り組まなければ身につけられることは限られてしまいます。

「就職活動のため」だけしか体育会に参加するモチベーションがない場合、取り組みの姿勢から差が出てくることは十分予想できますし、そのような態度は真剣に活動に打ち込んでいる周囲のメンバーに良い影響はもたらさないでしょう。

一昔前までは、練習や試合に対して不真面目な態度の部員がいれば、先輩や指導者による暴言・暴力によって部活動に参加できない状況に追い込む、というような事も実際にあったようです。

しかし、セクハラ・パワハラ等の概念が浸透してきている現代において、同じことを行えば大問題になるのは自明です。

暴言・暴力・パワハラと言っても、人それぞれ感じ方の違いがあるでしょう。私が大学の体育会系部活動で部長をしていた時も、この点は悩みの種だったように思います。

例えば、練習中にアザができた程度の怪我を大げさに捉え、大学の医務室に毎度のように通う部員たちもいました。

実際、医務室へ行ったところで「心配ならば病院へ行きなさい」と言われて湿布を渡される程度の処置しかしてもらえません。

にもかかわらず通うのを止めない彼・彼女らの感覚は理解できませんでした。

あまりに目に余ったため、本当に心配な場合には病院で診察を受けるべきだが、怪我をする度ごとに医務室へ行くのは少々大げさではないか、と指摘したところ、「先輩は厳しすぎる」等と批判する者が出てきました。

結局、医務室から「●●部の学生が毎回の練習後に医務室を利用している。危険な練習をしているのではないか。」と大学側に報告され、部長である私は大学から電話で呼び出され、厳重注意を受けました。

もし何かあれば活動停止処分にすると言われ、実際に大学の職員が練習を視察しに来る騒ぎとなりました。

どちらが良い・悪いということは言えないと思うのですが、部を運営する上で責任を負う立場となった時には様々な価値観を持った部員がいるということを配慮しなければならないでしょう。

大学、OB、部員が面倒事を避けるために神経を使い、士気の低い部員さえも見て見ぬふりしてしまうという現状があります。

世の中の常識も学生も時代と共に少しずつ変化していく中で、体育会系部活動の在り方も変化しつつあるということかもしれません。


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